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障害年金、うつ病での請求について考えてみました。

 

うつ病での請求について考えてみました。

 

 

障害年金の請求数の半分以上は、精神疾患によるものです。

ですので、障害年金を語る上で、精神の障害について考えることは避けて通れないでしょう。

 

 

 

さて、うつ病での障害年金受給のハードルは年々上がっていると言われています。これは気持ちの問題ではなく、ホントの話です。障害年金の現場に10年以上いる筆者が、日々壁にぶちあたっているのです。

ひょっとすると障害年金はなくなるのではないか?とすら感じているくらいです。

 

 

うつ病の請求書類で何が重要なのか?

 

 

障害年金、特にうつ病などの「精神の障害」の請求において、提出書類の中で何が一番重要なのでしょうか?

いわずと知れた、診断書です。

その内容次第で、年金の当否が決まるといっても過言ではありません。

 

 

さて、それほど大事な診断書ですが、年金機構、ひいては厚生労働省はどのように解釈していくのでしょうか。今回はこの件について深くつっこんでみたいと思います。

平成28年9月、「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が導入されました。それ以降、格段と「精神の障害」の受給のハードルは上がってしまったのです。

それは、診断書を点数化するというものでした。

 

 

精神の障害の診断書の裏面左側「日常生活能力の判定」という欄と、裏面右側「日常生活能力の程度」という欄がございます。ここに担当医がチェックしたものを点数化し、当該ガイドライン内の「障害等級の目安」という表にあてはめて、年金受給の当否を認定するというやり方が導入されたのです。

 

 

例えば、「日常生活能力の判定」の(1)「適切な食事」には、

□できる(1点)

□自発的にできるが時には助言や指導を必要とする(2点)

□自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる(3点)

□助言や指導をしてもできない若しくは行わない(4点)

 

 

上から(診断書の並びなら左から)、1点、2点、3点、4点となっていて(ガイドラインルールです)、重いほうが点数が高いのです。

(1)「適切な食事」以下、(2)「身辺の清潔保持」、(3)「金銭管理と買い物」、(4)、通院と服薬、(5)「他人との意思伝達及び対人関係」、(6)「身辺の安全保持及び危機対応」、(7)「社会性」とあるのですが、同じく1点〜4点の点数を医師が付けていくのです。例えば、全て「3点」だとすれば、3点×7項目=21点。21点÷7項目=平均点3・0点ということになります。

 

 

そして、診断書裏面右側「日常生活能力の程度」と照らし合わせていくのです。

例えば、日常生活能力の程度(3)、「精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である」にチェックされたとして、さきほど挙げた「障害等級の目安」にあてはめるてみましょう。以下の表をご覧ください。

 

 

【障害等級の目安】

(5) (4) (3) (2) (1)
3.5以上 1級 1級又は2級
3.0以上3.5以下 1級又は2級 2級 2級
2.5以上3.0未満 2級 2級又は3級
2.0以上2.5未満 2級 2級又は3級 3級又は3級非該当
1.5以上2.0未満 3級 3級又は3級非該当
1.5未満 3級非該当 3級非該当

 

 

 

横軸は「日常生活能力の程度」、縦軸は「日常生活能力の判定」です。横軸(3)のところを、横軸「3・0以上3・5以下」のところにぶつかるまで下げてみてください。「2級」となるはずです。この場合、2級となることがほとんどです。

 

 

しかし、同じく「日常生活能力の程度」が(3)でも、「日常生活能力の判定」の平均点が3・0未満なら、「障害等級の目安」にあてはめると「2級又は3級」となってしまいます。みなさんもうおわかりだと思いますが、障害基礎年金には3級はありません。つまり、障害基礎年金2級は「不支給」となるのです。

 

 

ここ最近の傾向として、「障害等級の目安」で「2級又は3級」になっている方の場合、ほとんど2級になることはないと考えたほうがいいでしょう。

 

 

その理由を訊ねると、保険者は必ず、「総合的に判断した」と言います。この「総合的」というのが、非常に曖昧でよくわかりません。つまり、「なんとなく」3級であると解釈しているのです。こう解釈されれば、もはやどうしようもありません。

 

 

ひとえに「うつ病」といっても、様々な症状があり、全て一筋縄で捉えることはできないはずです。「日常生活能力の判定」の7項目が一様に3・0点になるわけではなく、症状が重い人でも、「日常生活能力の判定」の7項目にバラつきがあるということもあるでしょうし、「日常生活能力の程度」が限りなく(4)に近い(3)という人もいるはずです。そういったことを「総合的に判断」したということであればまだわかります。しかし、保険者は担当医の記載した診断書を隈なく見ているとは、とても思えません。都合よく「総合的に判断した」と言っているように思われます。

 

 

 

診断書記載の権限は100%医師にありますが・・・

 

 

言うまでもありませんが、診断書の記載の権限は100%医師にあります。ですから、診断書の内容に関しては、こちらでコントロールすることはできません。これだけはどうしようもないのです。

 

 

では、どうしたらいいのでしょうか。

 

 

よく、「先生に診断書の内容を変えていただくように、お願いできませんか?」といった相談を受けますが、そんな要望に「はい、わかりました」と応じる医師はいません。当たり前です。ウソはつけないからです。

 

 

しかし、普段の受診の際に、あなたの本当の「日常生活の状況」が、100%伝わっているのでしょうか。必ずしもそうだとは限らないでしょう。

であれば、診断書の記載に協力していただけるとしたら、ご自身の「日常生活の状況」をメモなどにまとめて、伝えるということもひとつの方法かもしれません。自分でできなければ、ご家族に書いていただくというのもありでしょう。

 

いずれにせよ、精神の障害の請求にとって、診断書はとても重要なポイントです。

少なくとも、右から左に流すことだけはないようにしたいですね。

 

 

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