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パーキンソン病の請求は難しい?

 

 

 

 

 

 

パーキンソン病の請求が難しいということをよく聞きます。

弊事務所でも、何度もパーキンソン病で障害基礎年金の請求をしていますが、請求者の「見たかんじの症状」とは裏腹に、診断書の内容が思いのほか「軽い」ことがあります。

 

これは3年前に請求した時の話です。その方は50代の女性でかなりの重症度でした。ヤール重症度「Ⅳ」、日常生活機能障害度「Ⅱ」。ご家族同伴で、車椅子に乗ってお会いしたことがあったのですが、素人目に見てもかなり重症な方との印象がありました。

 

簡単に、障害基礎年金2級が決定するものだと考えていたのですが、いざ診断書を取得したところ、「日常生活における動作の障害の程度」の評価はことの他「軽い」ものでした。

 

パーキンソンの症状として重症なものでも、筋力・関節可動域の状態にさほど問題がない場合もあります。この請求者の女性も筋力・可動域に問題はなく、診断書は未記入となっていました。しかし、請求者の症状は、ふるえがひどく、下肢の症状がとくに顕著で、上肢も思うよう動かず細かい作業が不可能となっていました。こういった場合、認定基準は「第4 肢体の機能の障害」が用いられるでしょう。同認定基準には『 肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合には、本節「第1 上肢の障害」、「第2 下肢の障害」及び「第3 体幹・脊柱の機能の障害」に示したそれぞれの認定基準と認定要領によらず、「第4 肢体の機能の障害」として認定する。』との記載があります。2級の例示として「四肢の機能に機能障害を残すもの」とあります。

 

 

「四肢の機能に機能障害を残すもの」とはどういった症状なのでしょうか。肢体の障害の認定基準「第4 肢体の機能の障害」には『「機能障害を残すもの」とは、日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」をいう。』とあります。請求者の女性はまさにほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」、つまり2級の例示にあてはまっていました。しかし、診断書の評価はそうではなかったのです。担当医の記載した「日常生活における動作の障害の程度」の上肢の欄はすべて「〇」だったのです。そのあたりを担当医に伺ったところ、「やろうと思えば何とかできるから「〇」にした」との回答でした。

 

 

薬は2時間ごとに飲んでいました。薬効のある時間は短く、薬効が切れると立っていることもできなくなります。請求者は常態的に介助が必要な状態であったのですが、薬効のある時とない時では、「日常生活における動作の障害の程度」が少々かわってくるものです。薬効の効いている時は「何とかできる」状態だったとしても、効いていない時は『やや不自由「〇△」』、あるいは『非常に不自由「△✖」』ではないでしょうか。そのあたりを、また担当医に問い合わせたところ、「〇」の部分を「〇△」、あるいは「△✖」に修正していただきました。その診断書を提出し、無事障害基礎年金2級を受給することができましたが、そのまま診断書を出していれば間違いなく「不支給」となっていたでしょう。

 

 

長くなりました。すいません。つまり診断書の内容は大事だということです。精神の障害のみならず、肢体の障害にしても解釈においては各担当医により変わってくるものなので、診断書取得の際はきちんとお話を聞いていただくということは重要なポイントとなるでしょう。

 

 

しかし最近、診断書の「日常生活における動作の障害の程度」は「ONの時かOFFの時か?」という照会が病院に入り、「OFFの時である」と回答に対して、「OFFの状態だけでは、2級と認められない」という理由で「不支給」となった例があると聞いています。筆者はまだこのような経験はしていないのですが、これが本当なら由々しき問題です。そのような見解が許されるのなら、パーキンソン病で障害基礎年金を受給できる人がほとんどいなくなると考えられるからです。不服申し立てをして徹底的に闘わなればならないでしょう。

 

 

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