執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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障害年金の審査請求 社会保険審査官の解釈について考える
札幌厚別区で社会保険労務士をやっております、中斉と申します。
さて、障害年金受給のハードルは年々上がっていると言われて久しいです。
これは、感覚だけの問題ではなく、実際そういった方向に流れていることは間違いありません。
特に精神の障害について、顕著に感じざるを得ません。
法律や障害認定基準が大きく変わったということなら、ある程度あきらめはつくのですが、そうではない。
弊事務所は10年以上障害年金を扱っているのですが、10年前に普通に通った案件が通らないんんてこともしばしばございます。
診断書に記載された患者(請求者)についての「ポジティブな表現」を拡大解釈し、年金を支給しないという流れになりつつなかで、診断書を取得しても、それを右から左へ流すようなことはやめたほうがいいでしょう。
さて、今日のテーマは「障害年金の審査請求 社会保険審査官の解釈に異議申す!」です。
口を返すようでたいへん恐縮ですが、最近の審査官の解釈には首をひねる場面が多いです。
昨年(令和元年)のはなしですが、神経症圏の傷病で請求したものの、「神経症圏の病気ということで、不支給とする」という案件がありました。相談を受け、審査請求から弊社の社会保険労務士が代理人となります。
担当の医師に確認し「精神病の病態を示している」として申し立てました。それを受け、担当審査官が、その根拠を主治医に照会文で問い合わせた所、主治医は「精神病の病態を示している根拠として〇〇等が挙げられる」と回答。
無事障害基礎年金2級が支給されたのです。
このように、審査官が担当医に照会文で質問し、それを参考にして判断するということはあたりまえにあったのです。
しかし、残念ながら、今、このような「男気」のある審査官はいないように思われます。
同じように、「神経症圏の傷病」で請求し不支給となった方が、審査請求の際に担当医から「精神病の病態を示している」といった意見書をもらい、審査請求書の添付資料として提出しても、採用されないことがありました。
理由は『裁定請求の決定のあとを受けて書いた「意見書」は採用しない』というものでした。
おかしな話です。
では、今まで、担当審査官の「質問状」に対して主治医が回答したものが認められていたというのは、間違いだったということなのでしょうか。
本当に納得いきません。
このように、解釈というのは、いとも簡単に変えられるのです。もちろん、再審査請求にのぞむことになります。
しかし、こんな複雑な状況の中、個人で闘うのには限界があるでしょう。筆者は切に考えています。
担当の医師や、様々な支援機関などに協力を仰ぐことが必要になるでしょう。
障害年金を請求するということは、このように泥沼にハマることもあり得るのですから。