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障害年金「精神の障害」働いたらダメなのか?

 

執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)

 

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。

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精神の障害年金 働いたら貰えないのか?

 

障害年金受給のハードルは年々上がっていると言われて久しいです。特に精神の障害は顕著といっていいでしょう。

 

障害年金の相談会でのよくある質問として、精神の障害年金は「働いたら貰えないのか?」というものがあります。

 

以前、超一流社労士・松山純子先生が「障害年金をもらいながら働く方法を考えてみませんか? 」という著作を出版しブレイクしました。しかし、障害年金をもらいながら働く方法を見出している方がいるいっぽうで、障害年金をもらいながら働くことを希望しながらも、年金が止められることに恐れて、なかなか動くことに躊躇している人もいるのです。

 

働けるんだったら障害年金なんていらないでしょうと言う方がいますが、ここでいう「働く」とは、何も生活がすべて自立できるほどの給与をもらうというものではありません。

 

例えば、実家に戻り高齢の親の世話になっている方が、自分の障害基礎年金(月額約6万5千円)を全て家に入れたとしても生活が困窮してどうしようもないといったケースを想定してみてください。

 

苦しむ高齢の親を見て、けっして体調はよくないものの、主治医に相談のうえ調子をみながら、短期間や短時間のバイトで月額3万円ほど稼ぐことが、自立した生活をおくっているとは思えません。

 

しかし、そこで障害年金が止まるリスクがあるとなれば、何一つ動くこともできなくなるのです。

 

もちろん、ちょっとバイトしただけではすぐに年金が止まることはないでしょうが、止めれれるリスクはないとはいえない。そこで、行動することを躊躇している方がいるとすれば、それはけっしていい現象ではありません。

 

ここ数年の精神の障害年金における「就労」の扱いは非常にシビアです。それは、障害年金の現場にいる者であればだれもが感じていることではないでしょうか。

 

 

 

 

精神の障害年金 働いたらダメではないのだが・・・

 

精神の障害年金を受給するものが「働いたらダメ」なんていう法律も規定もありません。

 

精神の障害認定基準には以下の記載があります。

 

 

『 (前略)また、現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。』

 

 

しかし、実際は、精神の障害において、少しでも就労しているものは2級にしないという流れが続いています。

 

保険者(厚生労働省・年金機構)は、就労が少しでもできるというだけで、「日常生活能力が高い」と判断する傾向があります。

 

例え、週1日3時間程度のバイトをしている方でもです。ならば、3級のない障害基礎年金の方がバイトをしながら年金を受給することは不可能です。

 

これはとんでもないことだと思います。

 

まだ、多くの支援を必要とする「障害者枠での一般企業」や「就労支援A型」での就労をしている知的障害の方などは、比較的2級が認められている感じはしますが、うつ病や統合失調症、あるいは、知的障害の伴わない発達障害の方は、少しでも就労できているということで、障害基礎年金2級は「不支給」となってしまう。

 

これはいかがなものでしょうか。保険者は「総合的に見て2級には該当しない」という非論理的な見解をみせていますが、場合によっては少額のアルバイト程度なら認めてあげる規定を作るという発想があってもいいんじゃないでしょうか。また、障害基礎年金にも3級を創設するとか何らかの緩和策を練ってくれれば、ある意味社会生活を再開する機会も生まれ、体調の改善につながると思います。

 

それが、本当の意味で自立への第一歩なのではないでしょうか。

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