執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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意外に多い 全身性エリテマトーデスの障害年金相談
札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などをの業務は手掛けて15年目になります。
さて、振り返れば全身性エリテマトーデスの患者さんの障害年金の請求を何度か行っています。そして現在も進めているところです。
全身性エリテマトーデスとは、膠原病のひとつで指定難病に定められています。難病情報センターのホームページに詳しいので引用させていただきます。
https://www.nanbyou.or.jp/entry/53
この病気は、英語でsystemic lupus erythematosusといい、その頭文字をとってSLEと略して呼ばれます。systemicとは、全身のという意味で、この病気が全身のさまざまな場所、臓器に、多彩な症状を引き起こすということを指しています。lupus erythematosusとは、皮膚に出来る発疹が、狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることから、こう名付けられました(lupus、ループス:ラテン語で狼の意味)。発熱、全身倦怠感などの炎症 を思わせる症状と、関節、皮膚、そして腎臓、肺、中枢神経などの内臓のさまざまな症状が一度に、あるいは経過とともに起こってきます。その原因は、今のところわかっていませんが、免疫の異常が病気の成り立ちに重要な役割を果たしています。
国内の患者は「約6~10万人」と言われていますが、いずれにせよ患者さんにとってはたいへんな病気であり、日常生活に著しく支障をきたしているケースが多いと思われます。
その中でも「NPSLE」といわれる、精神症状が顕著に出る状態の方の障害年金の請求はやっかいだったりします。
初診日を確定しづらいからです。
全身性エリテマトーデス「NPSLE」の初診日はどこになるのか?
本コラムのタイトルは「全身性エリテマトーデス「NPSLE」の初診日はどこになるのか?」です。
精神症状が顕著に出る「NPSLE」の場合、精神科の受診が先に出るケースがあるのですが、みなさんご存じのように、精神科を受診した当初は、すぐには診断名はつかず、「抑うつ状態」や「不安神経症」あるいは「ストレスによる不眠状態」などと言われることがほとんどで、まして最初から全身性エリテマトーデスの「NPSLE」の症状が疑われることは考え難いです。
精神症状が出現した後に、今度は発熱・倦怠感などの著しい症状が出て内科などを受診。しばらく経過観察を行い、全身性エリテマトーデス「SLE」であることが確定される。そして、内科での治療を進めていくにつれ、その精神症状は、実は「NPSLE」ではないかと疑われ、後に確定診断されるようなケースにおいて、障害年金における初診日はいつになるのでしょうか。
はじめて精神科を受診した日か。
「SLE」を疑われた日か。
実は「NPSLE」ではないかと疑われた日か。
ここらへんは非常に悩むところです。
精神症状が、「SLE」によるものとしっかり確証が取れるなら、精神科を受診した日を初診日とするのは考え方として間違ってはいないと思います。
しかし、その精神科の初診日当初の診断名が「抑うつ状態」であり、「SLE」によるものと疑いをかけられるまで、長期的な時間が経過していれば、それも難しいかもしれません。精神科を初めて受診した頃の精神症状とSLEの因果関係が認められない可能性が出てくるからです。
筆者ならどうするか。
まあ、最終的な判断は認定医の判断に任せるしかないのですが、精神科の初診日を障害年金における初診日に設定すると思います。もちろん、精神症状が出現してから、それはSLEによるものと言われるまでのタイムラグがあまりないということが前提ですが。
これは、認定医によって見解がかなり変わってくると思いますね。
考えると眠れなくなるケースかもしれません。