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脳梗塞の障害年金請求 高次脳機能障害・失語症の場合

執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)

 

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。

障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。

 

 

 

 

 

脳梗塞の障害年金請求は「肢体の障害」だけとは限らない

札幌市厚別区で社会保険労務士をやっている、中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。

 

先日、脳梗塞を患い、筆者が請求代理人を務め障害厚生年金を請求した方から、2級の年金の支給がきまったというご報告を受けました。

 

その方の症状は「高次脳機能障害・失語症」でした。

 

脳梗塞を患った方の障害年金と聞いて、イメージ的に「肢体の障害」と思われる方は多いと思います。しかし、肢体に障害を負うことは逃れたものの、高次脳機能障害や失語症状が認められるケースも少なくありません。

 

その方は、もともと営業職だったのですが、仕事中に突然極端に言葉が出なくなります。職場の上司も異変に気付き、総合病院に緊急搬送されることに。搬送先では、脳梗塞と診断され即入院となりました。

 

幸い肢体麻痺などの症状は出なかったものの、高次脳機能障害・感覚失語症状・記憶障害などが認められ、読み書き中心のリハビリ兼ね入院生活をおくりました。約1ヵ月後他の病院に転院し、リハビリを中心とした入生活をさらに約1カ月間送り退院します。あとは、経過観察というかたちで、数ヵ月に1回、最初の搬送先の病院へ通院することになりました。

 

 

 

 

高次脳機能障害・失語症で請求を進めるも・・・

退院し、会社に復帰したものの、元の営業の仕事にはもどることはできず、別の部署でアルバイト的な単純作業を与えられるのですが、まずしっかりと言葉が出てこない。そして会話があまり成立しないということで、ごく限られた作業しかできませんでした。

 

上司・同僚の理解により、会社を辞めずには済みましたが、給料は下げられ、いつ辞めてもおかしくない立場に追いやられていきます。

 

そして、将来や経済的なことなど不安が募るようになり、障害年金の請求を検討するようになります。そして、まずはご家族が年金事務所に相談。障害認定日を待ち障害厚生年金を請求する予定でした。

 

診断書は「精神の障害用」と「音声又は言語機能の障害用」。

 

しかし、そこで大きな壁にぶつかります。何と病院から障害年金の記載を拒まれたというのです。

 

 

 

 

一度、脳神経外科医に精神の障害の診断書を断れれるも・・・

 

病院が障害年金診断書の記載を拒んだ理由は大きく2つでした。

 

「当科は脳神経外科です。精神の障害や言語機能の障害の診断書を書いたことがないので、無理です」

 

「あなたは、現在仕事をしている。それほど、重症ではないのだから障害年金は無理でしょう」

 

そんな言葉を主治医から言われ、一度は障害年金の請求を断念します。しかし、あきらめきれず、筆者の元へ相談に来られ、正式に委任されたということです。

 

とはいえ、医師から診断書を拒否された状況から参加するのは非常に難しいものです。筆者はまず、その総合病院の文書受付担当者を通して担当医に手紙を書きました。「脳外科の先生でも、精神の障害の診断書を書いていただくケースはよくあることです」、「脳外科の先生が書ける範囲で書いていただければ、完璧な記載でなくてもけっこうです」、「言語の障害の診断書は、他科のご協力を得て検査等していただければ幸いです」と丁寧に説明・依頼しました。

 

また、仕事をしていることで障害年金が出ないということに関しては、「○○さんは仕事ができているといっても、会話が成立せず単純作業もままならず、いつ解雇されてもおかしくない状況。これはまぎれもなく障害年金の対象です」などと依頼書に綴ったところ、担当の先生は快く受けてくれました。もちろん、そこには何度かのやり取りはあったのですが、長くなるのでそのへんのところはここでは割愛させていただきます。

 

結果から申し上げて、障害厚生年金2級が支給されました。精神の障害の診断書だけ見れば明らかに3級相当だったのですが、言語障害の診断書と併せて2級が認められたのです。

 

「脳外科医だから精神の障害の診断書を書けない」、また「就労しているから障害年金は出ない」ということはわかりますが、ケースバイケースで考えていく必要があります。頭ごなしに回答を出すことはせず、時間をかけてじっくり考えていけば、結果が出ることもあるということを忘れてはいけないでしょう。

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