執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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うつ病・統合失調症(精神の障害)は診断書の内容ですべてきまる
うつ病・統合失調症など、精神の障害での障害年金受給のハードルは、年々上がっていると感じる今日この頃。
平成28年9月から導入された「ガイドライン」の障害年金当否への影響は想像していた以上に大きいものとなりました。
「地域格差をなくす」という名目で導入された「ガイドライン」ですが、大げさに言えば、地域格差ところか障害基礎年金2級じたいがなくなってしまいそうな勢いです。
精神の障害 実際の症状が診断書にしっかり反映されているかがカギ
当たり前ですが、大事なのは診断書の内容なのです。特に精神の障害の場合それは顕著に言えます。精神の障害での受給のハードルが上がろうとも、診断書の内容がきちんとしたものであれば、障害年金は受給できるのです。
それほど大事な診断書なのに、いとも簡単に右から左に受け流している方は後をたちません。
診断書の一時一句が、年金受給の当否をきめる大切なものであるという意識を持たなくてはいけません。
精神の診断書の重要なポイントはどこなのか
もちろん、精神の障害の診断書において、「日常生活能力の判定」・「日常生活能力の程度」が特に重要です。
障害基礎年金2級であれば、「日常生活能力の程度」が(3)だとして、「日常生活能力の判定」の平均ポイントが3・0以上でなければ、最近は「不支給」となり得るのです。
ガイドラインの「障害等級の目安」には、「日常生活能力の程度」が(3)で、「日常生活能力の判定」の平均ポイントが2・5以上3・0ポイントなら「2級又は3級」となっているので、2級も可能かと思っている方は多いですが、最近の傾向として、これでは2級を出さなくなってきています。
診断書を総合的に見て判断しました・・・。
最近の保険者(厚生労働省・年金機構)がよく使う言葉です。
「診断書を総合的に見る」とは、つまり診断書を隈なく見て「年金を出さない理由」を見出すことなのかと思ってしまうことがしばしばあります。
「年金を出さない理由」といっても色々あるのですが、例えば、診断書項番⑪「現症時の日常生活活動能力及び労働能力」の欄に「ここ数年は就労するも、短期間で辞めている」と記載されているものを「就労できていた」と解釈されることもあり、また備考欄に「社会復帰に意欲はあるが・・・、」などのコメントを見つけて「日常生活に意欲あり。2級にはあたらない」と拡大解釈することもありました。
「総合的に見る」と言う言葉が、なんとも都合よく使われていることに、片腹痛い思いをしているのは筆者だけではないでしょう。
診断書取得には担当医の協力を得ることも必要
なので、きちんとした診断書をもらうために、担当の先生にご協力いただくことことも大事です。これは、単純に内容を盛っていただくということではありません。
しっかりと実際のつらい状況を診断書に反映していただくと言う意味です。
もちろん、患者が障害年金を請求することに懐疑的な医師もいることは否めません。しかし、それでも診断書を取得し右から左に受け流すことはけっしてやってはいけないのです。
しっかりと自分の状態が診断書に反映されるよう、日常生活の状態をメモにして渡すなどの努力はしたほうがいいと筆者は考えます。自分でできなければ、付き添いの家族などに協力を仰ぐこともありかと思います。