執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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解離性障害で障害年金は受給できるのでしょうか?
相談者:男性・39歳
傷病名:解離性障害
解離性障害と診断されて10年以上経過しましたが、症状はいっこうによくなりません。仕事どころか日常生活もままなりません。
実は、10年くらい前ですが、障害認定日に同傷病で障害年金を請求したことがあります。その時は年金をもらえませんでした。理由は「解離性障害は障害年金の対象にならない」ということだったようですが、意味がわかりません。それからかなりの時間が経ちました。
現在は実家に居候しています。仕事ができる状態ではないため収入はゼロ。主治医より障害年金を勧められ、改めて請求を検討しているところです。
今も傷病名は解離性障害なのですが、最近障害者手帳の更新の際の診断書に、傷病名は「解離性障害・うつ病」と併記されていました。この文言の真意を担当の先生にうかがったところ、「基本的には解離性障害の症状であるが、時々うつ病の病態を示す時があるのでそう書きました」と言われました。
私は、障害年金をもらうことができるのでしょうか。
解離性障害で障害年金を受給できるケースもあります!
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
解離性障害で障害年金を受給できるのか?端的にいってそういうご相談かと思います。
結論から申し上げて、受給できないケースとできるケースがございます。
国民年金・厚生年金 障害認定基準・第8節「精神の障害」には以下の文言がございます。
神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とならない。
この文言から見て、解離性障害は神経症圏の傷病であるため、相談者様のように重篤な状態の方でも、認定の対象外ということになるのです。
しかし、同認定基準には以下の文言もございます。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分に属す病態であるかを考慮し判断すること。
「その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う」と認定基準に記載されていますね。
相談者様は、担当の先生によれば「基本的には解離性障害の症状である」ものの、「時々うつ病の病態を示す時がある」ということですね。また、『最近障害者手帳の更新の際の診断書に、傷病名は「解離性障害・うつ病」と併記されていました。』ともおっしゃっていますね。
これらの状態は、認定基準にある「精神病の病態を示しているもの」に該当する可能性はじゅうぶんあると思います。
担当の先生に、診断書項番①「障害の原因となった傷病名」の欄か、項番⑬「備考」の欄に、解離性障害とは別に、「うつ病(ICD10コード・F‐○○)」などと記載してもらえれば、障害年金の対象とみなされ、障害年金を受給できる可能性はじゅうぶんあるでしょう。
ただし、このケースは案外難しいかもしれません。障害年金の請求代理業務を行っている社会保険労務士さんなどご相談されることをお勧めいたします。