執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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Q人工股関節で障害年金遡及請求 診断書は1枚でいいのか?
59歳女性(看護師)。
40年近く看護師として働いています。
仕事柄体を酷使していたこともあり、ずいぶん前から股関節に痛みがありました。4年くらい前、整形外科を初めて受診。すぐに手術を勧められ、数日後に人工股関節置換術を受けました。
最近になって、「人工関節」は障害年金3級の対象ということを知ったのですが、どうも私も対象者で、今から請求すれば人工関節を入れた4年前に遡って支給されるみたいです。
ネットなどの情報では、障害年金を遡及請求する場合、障害認定日の診断書と現在の診断書の2枚が必要とありました。しかし、知り合いの社会保険労務士さんに聞いたところ、「あなたのケースなら診断書1枚でも問題ない」と言われましたが、実際のところどうなのでしょうか。
A人工関節の遡及請求は診断書1枚でいい場合もある
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
4年前に、股関節の痛みを訴えて整形外科を初受診。「すぐに手術が必要」ということで、数日後人工股関節置換術を受けたということですね。
初診日 :4年前(整形外科を初受診)
加入年金制度 :厚生年金(納付要件あり)
障害認定日 :人工股関節置換術を行った日(初診日から数日後)
障害年金請求における事実関係はおおむね上記のようででしょう。
4年前の障害認定日に遡って、障害年金3級を求めるのに「診断書は1枚でいいのか」というご質問かと思います。
まず、原則的なお話をさせていただきます。
障害年金の遡及請求は、原則的には、障害認定日以後3ケ月以内の現症日の診断書と請求日前3ヶ月以内の現症日の診断書、合計2通が必要です。
しかし、例外もあります。人工関節の置換術をしてから何年も障害年金の請求を行っていなかったような場合もそれにあたります。
障害認定基準には、『「人工骨頭、人工関節」の障害認定日はそう入置換した日(初診日から起算して1年6月を超える場合を除く。)とする。』とあり、『人工関節をそう入置換したものは3級と認定する。』とあります。ですので、人工関節の手術後数年経過し、障害年金を遡及請請求するとしても、現在の診断書で人工関節置換の手術日が確認できれば、相談者様が聞いた情報どおり、現在の診断書1通でも障害認定日に遡って請求することが可能です。ただし、障害認定基準にある通り、手術日が初診日から1年6ヶ月以内にある場合に限られます。
もう一度結論を述べますが、相談者様のケースでも、現在の診断書1通で障害認定日請求することは可能ということです。当たり前な話ですが、裁定請求書は「事後重症請求」ではなく「障害認定日請求」としなければんりません。また、現在の症状が2級相当にある場合は、原則通り診断書は2通で提出することになります。