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障害年金の申請 診断書記載医との関わり方を考える

執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。

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診断書記載医(担当医)とどう関わっていけばいいのか

 

 

障害年金の申請においてものすごく重要なことですが、意外に忘れがちなこととして、診断書記載医(担当医)との関わり方があります。

 

これは、先日、60歳の男性から受けた相談です。仮にYさんとしておきましょう。Yさんは工事現場で現場監督をされていました。

 

Yさんは、4年前大動脈乖離でステントグラフトを挿入された方。ステントグラフトとは、人工血管(グラフト)に針金状の金属を編んだ金網(ステント)を縫い合わせたものです。

 

術後は良好で日常生活は何とか自立していたのですが、工事現場の一線を退き、慣れない事務職に異動させられました。激しい運動は無理と判断されてのことです。

 

Yさんは、障害年金の申請を試みようと、年金事務所を訪れ、納付要件を確認。初診日は厚生年金ということで、準備を進めていました。

 

担当医に診断書を依頼したのですが、できあがった診断書を見て唖然・・・。循環器疾患の障害用の診断書の項番⑪、2「一般状態区分表」の欄には、なんと「ア 無症状で社会生活ができ、制限を受けることなく、発病前と同等にふるまえるもの」にチエックされていたとのことです。障害認定日のものも現在のものもです。。

 

障害認定基準・第11節/心疾患による障害の大動脈疾患 における3級の例示として「胸部大動脈解離(Stanford 分類A型・B型)や胸部大動脈瘤により、人工血管を挿入し、かつ、一般状態区分表のイ又はウに該当するもの 」があげられています。Yさんは人工血菅を挿入しているので、この対象にあたるのですが、一般状態区分表が「ア」では、障害年金の受給は厳しくなります。Yさんはどうしていいかわからんくなり幣事務所に相談に来られたということです。

 

Yさんは開口一番『一般状態区分表の「ア」を「イ」に変えてもらうことは可能しょうか?』と言われました。正直申し訳ないのですが、筆者に言われてもどうしようもありません。

 

 

 

根拠のあることなら記載医に相談するのもあり

 

筆者は、「担当の先生に、お願いしてみたらどうでしょうか」と至極当然のことを申し上げたのですが、浮かない顔をしているYさん。よくよく話を聞いてみると、現在の主治医の先生には長年診てもらっているものの、きちんと話を聞いてもらったことがないとのことでした。つまり、診断書の内容について相談するのが怖いと・・・。

 

筆者のアドバイスとしては、「診断書の記載内容については100%医師に権限があるため、医師がOKを出さなければあきらめるしかありません。しかし、Yさんは激しい運動は無理で、仕事も体に負担の少ない事務職(しかも慣れない業務)に異動させられています。これは一般状態区分「イ 軽度の症状があり肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの 例えば、軽い家事、事務など」にじゅうぶん当たるはずです。根拠があるのなら、それを先生に言われたらいいのではないでしょうか」というものでした。

 

『先生がおっかない。うまく言えそうもない』とうなだれてYさんは幣事務所の応接室を後にしました。

 

障害年金をもらうために、診断書の内容を「盛る」ことはぜったいにやってはいけないし、またそれを飲む医師などいるはずもありません。

 

しかし、根拠のあることならば、しっかりとそれを、診断書記載医に伝えるなど相談することは「あり」だとと筆者は考えます。

 

日常生活がある程度自立しているからといっても、日常生活に全く何の制限がないというわけではありません。

 

診断書記載医、つまり担当医とは、自身の容態に関してはもちろんのこと診断書についての相談などを気軽にできるような関係性を普段から築いておくことは大事だと思います。

 

それは、治療を受ける上でも非常に大切なことです。

 

また、患者本人は言いづらいというのであれば、付き添いのご家族がそれとなく伝えるという方法もあります。しゃべるのが苦手であるのなら手紙をしたためるということもありでしょう。

 

とにかく人間関係はとても大切です。

それは、人生全般に言えることですが・・・。

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