執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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Q 今年、障害厚生年金を請求。遡及請求が認められたものの、請求日に支給停止されてしまいました。そんなことがあるのでしょうか?
(相談者:50代男性・聴力の障害)
聴力の障害を持つ、50代の男性です。
身体障害者手帳は3級。今年初め、聴力の障害で障害厚生年金の請求を行いました。初診日は9年前で、遡及請求をしました。障害認定日の頃の診断書と現在の診断書を2通提出。数カ月後、年金証書が届き、無事遡及請求が認められたのですが、それと同時に請求日に年金が支給停止されてしまいまいました。意味がわかりません。そんなことがあるのでしょうか?
A 遡及請求が認められても、請求日で年金が支給停止されることもある。
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。
遡及請求、つまり障害認定日請求が認められても、請求日の診断書の内容によっては、そこで減額処分や支給停止処分をされることはじゅうぶんありえます。
たとえば、障害認定日2級で、請求日は3級。
あるいは、障害認定日3級で、請求日は年金不該当。
そんなことは起こりえます。
たぶんですが、相談者様の請求日の頃の症状が、ある程度改善されていたのではないでしょうか。
障害厚生年金を請求し、支給停止されたということは、「3級」から「3級不該当」になったということでしょう。
障害認定日の頃の症状はぎりぎり3級の支給を受ける程度で、そこから徐々に改善していったのかもしれません。
障害年金の支給停止の解除を求めたい場合、新たに診断書をもらい「受給権者支給停止事由消滅届」とともに提出するという方法もある
年金が支給停止されたということは、事実として受け止めるしかないでしょう。
こういったケースでは、何かできることはないでしょうか。
まず、請求日に症状が改善されていて、障害認定基準の3級の対象外になっていたらどうすればいいのか。
症状が改善されたのであれば、それはそれでどうしようもないのですが、聴力の場合、症状に波がある方がいると聞きます。もし、相談者様の病気の症状が、請求日の頃より悪化するようなことがあれば、新たに診断書を取得し、「受給権者支給停止事由消滅届」という書式といっしょに年金事務所に提出し、停止している年金の解除を求める請求をしてみるのもありです。その請求が認められれば、また障害年金が復活します。
「支給停止事由消滅届」の提出は、とくに期限があるわけではありません。よく、前回年金を請求してから1年すぎなければできないと言われていますが、そんなことはありません。極端な話、支給停止処分されたその日に行うこともできるのです。診断書は請求日以前3カ月以内のものでなくてはいけないのでご注意してください。
また、障害認定日に「3級14号」で認定された場合、症状が未固定の期間のみ年金が支払われ、症状が固定されたと判断された時年金は止められてしまいます。もしかしたら、相談者様のケースはこれに当たるかもしれません。しかし、症状は固定していないとお考えになるのなら、その解釈を求め審査請求を行う必要があります。それは非常に難易度が高いので、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。
以上、色々と書いてきましたが、障害年金がいきなりストップされるというのは、驚きとともに、怒りがこみあげてきて、おだやかではいられないと思います。
そんな時は、一人で悩んでいないで、近場の社会保険労務士にご相談してみてはいかがでしょうか。