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双極性障害と高次脳機能障害を患う男性の障害年金請求

中斉徳久(社会保険労務士)

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。札幌市厚別区厚別中央を拠点に、10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを主にに活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を! (011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。  

 

 

 

双極性障害患者が自殺企図 高次脳機能障害を患う

障害年金請求において、2つ以上傷病を併発しているケースはよくあるのですが、それは案外ややこしいものです。
 
 
事例集やマニュアル本などを参考にするのもいいですが、それぞれ事実関係が違うため、その都度請求の仕方も変わってくるでしょう。
 
 
今回は、幣事務所で扱ったケースを紹介させていただきます。これは、精神の障害の中でも2つの疾患を患った方、具体的には「双極性障害」を患う男性が、「高次脳機能障害」を併発したといった案件です。
 
 
仮にAさんということにしておきます。
 
 
Aさんは、長年会社員として従事していましたが、数年前から双極性障害を患い精神科へ継続的に通院していました。病状はそれほど重くはなかったので、会社には時短勤務を認めてもらい、週5日5時間の勤務を続けていました。
 
 
しかし、ある日自殺企図をおかしてしまいます。詳しくは触れませんが、一命を取り留めたものの、高次脳機能障害を患います。
 
 
単身で行動することが難しくなり、仕事も辞めるはめになってしまいます。
 
 
そこで、家族が障害年金請求を検討するのですが、途中まで進めたものの挫折し幣事務所へ依頼することになりました。
 
 
 
 

双極性障害と高次脳機能障害を併発する場合 初診日はいつになるのか

 
Aさんの病歴は、以下の様です。
 
 
双極性障害
 
初診日:平成26年5月(加入年金制度:厚生年金)
 
病歴・病状:Bメンタルクリニック、月1回の通院。薬物治療を行う。気分の波があるものの、時短勤務で一日5時間週5日働く。
 
 
高次脳機能障害
 
初診日:令和1年4月(加入年金制度:厚生年金)
 
病歴・病状:C病院へ救急搬送されそのまま救急病棟に入院。1週間経過ご失禁・異常行動など見られ、同病院・脳神経内科などに回され半年間入院。しかし、認知機能などに障害を負い、日常生活に支障をきたしていたため、家族を離れグループホームに入居した。施設のセンター長によれば、若干の会話や判断・行動などはできるが、自分で考えてできることは限りなく少ないとのこと。
 
 
さあ、この場合、初診日はいつになるのでしょう。まずここで壁にぶつかるのではないでしょうか。
 
 
Aさんの家族は、ネットで色々調べましたがよくわからなくなり、幣事務所へ相談に来たということです。
 
 
このように、同じ精神疾患でも2つの傷病が併発しているケースは、初めて障害年金を請求する人にとって、少々面倒なものになるでしょう。
 
 
 
そういった場合、双極性障害と高次脳機能障害に因果関係はあるかどうかを主治医に確認することが必要です。まあ、高次脳機能障害は自殺企図によるものですから、双極性障害とは関係ないものと考えられますが、素人考えは危険。幣事務所としてはBメンタルクリニックの担当医に確認することにしました。
 
 
Bクリニックの担当医によれば、「双極性障害と高次脳機能障害に因果関係はなし。初診日から現在に至るまで双極性障害の症状はあるものの、この病気じたいはそれほど重症ではない。日常生活能力の低下は、高次脳機能障害の影響がかなりあるのではないか」とのことでした。
 
 
 

双極性障害と高次脳機能障害 はじめて2級で請求する

こういう場合、どうすればいいのでしょうか。

 

 

「双極性障害と高次脳機能障害に因果関係はなし。初診日から現在に至るまで双極性障害の症状はあるものの、この病気じたいはそれほど重くはない。日常生活能力の低下は、高次脳機能障害の影響がかなりあるのではないか」との担当医の見解を吟味し、色々考えた末、幣事務所では「はじめて2級」の請求を検討しました。

 

 

もちろん、双方単独での請求も検討しました。まず双極性障害のほうは担当医より「いずれにせよ3級対象外」と言われ、高次脳機能障害は「双極性障害と分けて診断書を書くことは難しい」と断られました。

 

はじめて2級については、色んなサイトに記載されているので詳しくは触れませんが、このケースにおいては、前発障害(この場合双極性障害)が2級にならない状態ですので、後発障害(高次脳機能障害)と併せて2級にならないかという請求です。納付要件については後発障害で見ていくことになります。

 

 

Aさんは長年、サラリーマンをやられていて、双極性障害、高次脳機能障害の初診日いずれも厚生年金に加入していました。つまり、どちらの傷病においても厚生年金の被保険者の資格があるので、障害厚生年金のはじめて2級の請求を行いました。

 

 

精神の障害用の診断書、傷病名は「双極性障害、高次脳機能障害」と記載されたもの1枚を提出。結論としては、障害厚生年金2級の受給がきまりましたが、このように同じ精神の障害の中に別傷病が混在しているケースは、ちょっとやっかいだったりしますね。

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