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エーラス・ダンロス症候群 「リスク」が認められて3級がきまったケース

 

執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)

 

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。大学卒業後民間企業を経て、社会保険労務士になる。15年間障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。

障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。

 

 

 

 

遺伝性疾患 血菅型エーラス・ダンロス症候群 3級が認められたケース

 

札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを手掛けて15年になります。

 

障害年金の請求において、いわゆる難病と呼ばれる傷病は色んな意味で難しいです。診断名がつくまでに長期間を要したため初診日の証明ができないとか、症例が少なすぎて重症度が伝わらないとか、その理由は様々です。

 

昨年、筆者が受任し請求した障害厚生年金の傷病名は「血菅型ダンロス・エーラス症候群」。つい先日、3級の支給が容認されたのですが、その結果に安堵しております。

 

同傷病について、東京大学・血菅外科のサイトから一部引用します。同サイトの関係箇所を添付しておきますので、興味のある方はご覧ください。

血管型エーラス・ダンロス症候群とは | 東京大学血管外科

 

血管型エーラス・ダンロス症候群のインパクト

血管型はエーラス・ダンロス症候群の中で最も命に係わる症状を呈するものです。私たち血管外科のもとに紹介いただく患者さんは、大動脈解離・大動脈瘤破裂・血管断裂など緊急を要する場合がほとんどです。初診時に診断がついていないことも多いのですが、若年で動脈硬化もないのに動脈が破綻するという異常な事態には本疾患を疑います。ほかにも遺伝子疾患(マルファン症候群など)やその他の炎症性疾患(ベーチェット病や高安動脈炎)などをいくつか想定し、不安に駆られながら手術に向かいます。それは次項にあるように、血管型エーラス・ダンロス症候群だった場合には組織がとても脆く、縫合や止血部が次々と破綻していき手術がとても難しいからです。

 

当該依頼者は40代女性(以下Aさん)。初めてお会いした時の第一印象は、健康的でシュッとしている女性といったイメージでした。要するに障害年金には縁遠そうな方です。実際、事務系とはいえフルで働く会社員。

 

「請求に至らないケースかもしれない・・・」

 

そう思ったのがホントのところです。

 

しかし、病歴をうかがってみると壮絶な闘いを潜り抜け、そして現在も闘い続けている方でした。あまり詳しく言えませんが、日々大きなリスクを抱えて日常生活を過ごしていたのです。

 

大げさではなく、今日どうなってしまうかわからない。明日どうなってしまうかわからない。

 

そんな日々を生き抜いている・・・。

 

「少しでもいいから年金をもらい、仕事を少なくしたい」

 

そんな思いで、幣社の門を叩いたのでした。

 

 

 

「その他障害」の障害年金 就労しているが「リスク」が認めら障害厚生年金3級

Aさんは、10ほど前、体じゅうに大きなアザがいくつかあることに気づきます。そうこうしているうちにお腹や腰に激痛が走り、救急車を呼び夜間救急センターを受診。そこで「スタンフォードB型・急性大動脈解離」と言われ保存療法を選択します。

 

その1年後、某大学病院でのCT検査で「腹部大動脈解離、左腸骨動脈瘤18㎜」が認められ、ほどなく腹部大動脈解離に人工血菅置換術を行いました。そしてその4年後、今度は脾動脈瘤破裂のため、脾動脈コイル塞栓術を施行。現在は肝動脈瘤、腹腔動脈径拡大傾向を認め、動脈解離・臓器破裂のリスクが大きく、経過観察を行いつつ厳重な血圧管理を強いられています。

 

病気の特性でとにかく血菅がもろく、ちょっとのケガをしただけで大事に至るため、少しの無理もできない。当然、手術のリスクは非常に高いなど、大げさな話ではなく「人生そのものが非常事態」な状態なのです。

 

そんな中、事務系とはいえ毎日フルで働いているのですが、いつ倒れても誰かに助けてもらえるように、ネームホルダーに、自分の氏名・傷病名・病歴・現在の病院などを記載した紙を入れて、肌身離さず携帯しています。

 

まさに、命がけの出社なのです。

 

 

 

つっこみどころのない診断書 その後、日常生活状況の意見書を求められる

 

さて、本ケースは、事後重症請求で障害厚生年金3級が認められたのですが、本音を言えば、「ちょっと厳しいかも」と思っていたのは事実です。

 

それは、請求者がフルで勤務していたからです。

 

最近一部マスコミで報道されましたが、昨今の障害年金をとりまく環境は悪化傾向にあり、少しでも就労をしている方への風当たりは凄まじいものがあります。

 

実際、担当医が記載した診断書は「つっこみどころのない」完璧なものだったのですが、請求から2ケ月ほどして、なぜか書類が返戻。「日常生活の評価を主治医に記載してもらい提出してください」といった別紙の書類が渡されたのです。

 

「これはもう無理かな」と半ば気持ちが切れたのですが、担当医の先生がじゅうぶんすぎるほどの対応をしてくれました。

 

「動脈解離・臓器破裂のリスク」、「手術を行うことのリスク」の元、日常生活に大きな制限がかかっていることを書類にてしっかりと表現してくれたのです。

 

この書類提出後、ほどなくして年金証書が到着、障害厚生年金3級がきまったのですが、もし先生のご協力がなければ、違う結果になっていたこともじゅうぶん考えられます。

 

それにしても、この事例は、とても大きな意味があると考えます。

 

といいうのも、フルで仕事をしているという事実がある中、病気における様々なリスクを重視し、認定されたからです。

 

昨今、理不尽な決定が相継ぐ障害年金ですが、このように、しっかりとした判断がなされることもあるということです。

 

もちろん、それで喜んでいてはいけない。

 

それは、全ての請求において公平性が保たれなくてはいけないからです。

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