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障害年金 うつ病の方が練炭自殺で高次脳機能障害に どうすればいいのか?

 

執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)

 

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。大学卒業後民間企業を経て、社会保険労務士になる。15年間障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。

障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。

 

 

 

 

例えば双極性障害と高次脳機能障害の両方を患う方の障害年金 こういったケースはややこしい

札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを手掛けて15年になります。

 

当サイトのコラムで何度か取り上げていますが、障害年金において、1枚の診断書内に2つ以上の傷病が入り混じった場合の請求はやっかいであります。

 

例えば、双極性障害で療養中の方が、高次脳機能障害を患ったようなケース。

 

こういったケースでは、まず両傷病が因果関係があるものなのかを担当医にうかがうことから始めなければなりません。因果関係が「ある」ということなら同一傷病ということになるので、障害年金を請求するじたいそれほど難しくはありません。では、因果関係が「ない」となればどういった請求方法があるのか考えなくてはなりません。

 

このようなケースでは、筆者の経験したところ、たいていの医師は「因果関係はあるとは思うけど、定かではない」といった歯切れの悪い回答をされることがほとんどです。

 

その場合、因果関係があるかないかは自分達で判断をしたうえで障害年金を請求し、認定医に委ねることになるのですが、基本医師が「わからない」といったケースは、「因果関係はない」ものと解釈できるでしょう。

 

さて、そういう時はどうしたらいいのか。

 

まあ、色々なケースがありますので一概には言えません。その事案ごとに対処していかなければなりませんね。

 

 

 

 

うつ病を長年患う男性(50代) 練炭自殺後高次脳機能障害を患ったケース

昨年、幣社で受任したケースです。

 

うつ病を長年患う50代の男性(Aさん)が、家族の外出中に自宅で練炭自殺をするという事件がありました。

 

幸い、早めに帰宅した家族が気づき救急搬送されます。何とか一命はとりとめたのですが、このあたりからADLが著しく低下してきたのです。

 

というのも、Aさんは今回の件で高次脳機能障害を患ってしまったのです。

 

それから1年半くらい経過後、その男性はグループホームに入居することになり、出費もかさむということでご家族が障害年金の請求を検討するようになりました。

 

「うつ病」と「高次脳機能障害」を患う請求者。まさに、先ほど挙げたものの典型例でしょう。

 

とりあえず担当の医師に確認事項を伺います。

 

まず、両傷病における因果関係。それ以外にも、日常生活能力の低下の原因はうつ病によるものか、それとも高次脳機能障害によるものか、あるいは入り混じっていて判別できないのか。そのあたりはとりあえず確認する必要があります。

 

担当医の先生は、うつ病と高次脳機能障害の因果関係を否定した上で、予想外にも「Aさんの症状はうつ病によるものが大きい。高次脳機能障害も患っているが、日常生活にあまり影響がない。診断書は『うつ病』として書きます」と回答されたのです。

 

それで、うつ病についてのみの診断書を記載していただけると思っていたのですが、ふたを開けると全く違ったのです。

 

傷病名の欄には「うつ病」となってはいたものの、経過の欄には「〇年〇月〇日、練炭自殺により高次脳機能障害を患う。以後、日常生活能力が著しく低下する」とありました。これでは、傷病名は「うつ病」ではなくて、「うつ病・高次脳機能障害」なとが的確ではないでしょうか。そのあたりも問い合わせたのですが、「忙しい」と全くとりあっていただけませんでした。

 

こういった場合どうするのか?

 

診断書による傷病名は「うつ病」ということですが、経過の欄に「練炭自殺により高次脳機能障害を患う。以後、日常生活能力が著しく低下する」とあることから、高次脳機能障害の要素はかなり高い割合で入っているのは間違いありません。

 

そして、高次脳機能障害が練炭自殺によるものであるから、うつ病とは別傷病と捉えて、悩んだあげく、「うつ病」と「高次脳機能障害」におけるはじめて2級の請求を選択しました。

 

両傷病とも初診日は国民年金。納付要件もどちらとも問題ないということで、そうすることにしました。

 

数カ月後、無事障害基礎年金2級がきまり、まずは安堵したのを覚えています。

 

もちろん、これが唯一の正解だとは思っていません。

 

うつ病が原因の自殺ということを考えると、両傷病においては相当因果関係があるもの、つまり同一傷病と考えて請求することもありかもしれない。実際そうされる方もいるでしょう。

 

結果的には変わらずとも、色々と悩むのが障害年金の難しさです。

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