執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。
最近多い「知的障害」の請求の相談
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
弊社では、電話・メール等で障害年金請求における「無料相談」を随時行っているのですが、知的障害(精神遅滞)の請求のご相談をうけることがよくあります。
相談者は、請求者本人ではなく、親御さんがお電話してくるケースがほとんどです。
実は、ひと昔前までは、知的障害で障害年金を請求することは、それほど困難なことではなかった気がします。高等養護学校を卒業し、等級問わず療育手帳を取得されている方が請求すれば、だいたいは通るといったイメージだったのです。だから、以前は知的障害の請求についてのご相談はあまりなかったような気がします。
しかしここ数年は、知的障害の請求についてのご相談は割と多い気がします。また、20歳になり知的障害で請求するも、「不支給でした」といった残念なご相談も少なからずございます。そしてそれらは(再)審査請求するものの、判定が覆ることはなかなか難しいと思われます。
ざくっとしたイメージでいえば、平成28年頃からこういった現象が増えたと思います。精神障害のガイドラインの導入、東京での一括審査などがその理由なのですが、いままで普通に通っていたようなケースが通らなくなるとは、なんとも理不尽な気がします。
療育手帳Bの知的障害の請求は非常にきびしい・・・
療育手帳は、法律というよりも各自治体で設けられた制度ですので、各自治体それぞれ名称や等級のルールなどが違っている場合があります。
札幌市特有の等級で「B」(Bバーといいます)という等級があります。「A」「B」の次に当たるものなのですが、いわゆる「軽症」の知的障害ということでしょう。IQが比較的高い方(上は70~75くらいの方も含まれています)というイメージですかね。
この療育手帳Bの方の障害年金の請求は厳しいものがあります。請求したものの、不支給となったというご相談は、実はこの方々だったりします。
そういった方の提出した診断書を見ていつも思うのですが、診断書じたいはしっかりと書かれたもので、日常生活能力の程度は(3)、日常生活能力の判定は、7項目の平均スコアは(3.0)と、どう見ても障害基礎年金2級が出てもおかしくない診断書なのに「不支給」。請求した方は当然納得できないはずですが、その理由を調べていくと、大まかに療育手帳が「B」ということに突き当たります。つまり、はなから障害として認められていないということでしょうか。ここ数年、そういう傾向は増しているような気がします。
しかし、「B」でも、普通に障害年金が出ているケースもあります。そういった方の診断書を見ていると、「発達障害」が併発されているケースが多いです。例えば、傷病名「軽度知的障害・ADHD」などと書かれているケースです。IQも比較的高く、軽度知的障害では、障害基礎年金2級には若干満たないものの、ADHDが併発されているため、総合的にみて2級となったということでしょう。
ただ、中には発達障害を診ない医師もいるということを考慮する必要があります。それはいったいどういうことなのか?
療育手帳の判定医師と診断書記載医の見解が同じとは限らない
例えば、さきほど例に出した「軽度知的障害・ADHD」などのケース。療育手帳を取得した際の検査で、そう診断されていたものの、障害年金の診断書には「軽度知的障害」としか記載されていなかったといったケースがあります。
診断書記載医(精神科医)が、発達障害を診ない医師の場合、こういったことが起こり得ます。さきほど例に出した療育手帳「B」の方なら、知的障害じたい認定の対象外になってしまい「不支給」となる可能性があるのです。「軽度知的障害・ADHD」ということなら、総合的にみて2級となったかもしれないのに、非常に残念なケースであります。なので、診断書記載を依頼する前に、担当医師に傷病名を確認する必要があるでしょう。
しかし、我々のような「業者」でもなければ、障害年金を請求するなどは一生に一度あるかないかのことで、それを見越して請求の準備をするのはちょっと難しいはずです。ですので、請求する前に、社労士事務所などの「無料相談」などを利用するのもありかと思います。
また、本ブログは、障害基礎年金の請求を前提に記してきましたが、「軽度知的障害・ADHD」のようなケースでも、障害厚生年金の対象になる可能性もあります。話が複雑になってきたので、これに関しては後日記載いたします。今回はちょっと長くなってしまいすいません!
ではでは。