執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。大学卒業後民間企業を経て、社会保険労務士になる。15年間障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。
年金は遠い未来のことではない 学生の方には学生納付特例をお勧めします
札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを手掛けて15年になります。
昨年、障害年金のご相談を受けた方で20代後半の女性(A子さん)がいました。
短期大学を卒業後就職するも、残業が続き休日も返上し仕事をしなければならない状況。怒鳴り散らす上司、ピリピリした職場のムード。気が付けば朝起き上がることもできず、仕事に行けなくなったのです。それが入社から約8カ月後。
そこで親に連れられて精神科に。うつ病と言われました。以来実家に引きこもっているばかりです。
症状は改善せず、気が付けば20代も後半に。心配した主治医が障害年金を勧めたため、幣社に相談に来られたということです。
もし、学生納付特例の申請手続きをしていなかったら・・・
Aさんの障害年金における初診日は入社から8カ月後の会社員時代ですので、障害厚生年金の対象です。それは間違いないのですが、納付要件はクリアーしているのでしょうか。つまり、20歳から就職するまでの10か月ほどの期間、国民年金の保険料を支払っているのか。あるいは、免除申請(学生の場合は、その対象として学生納付特例という制度があります)を行っているのか。初診日を含む月の前々月から12カ月未納期間がなければ、納付要件をクリアーするのですが、Aさんの場合、最低でも20歳になった年の11月以降卒業する月まで、年金を払っているかまたは免除申請していなければなりません。
そのあたりをAさんに聞いてみたのですが、「年金は払っていません。免除はどうだったかわからない・・・」と不安気な顔をされていました。
筆者も恐る恐る納付記録を調べたのですが、心配は取り越し苦労で、Aさんは20歳から卒業するまで、しっかりと学生納付特例(学特)の申請を行っていました。これで納付要件はOKで、障害厚生年金の請求を行うことが可能です。
ご自身で学生納付特例の申請をされたのですか?
「いや、記憶がないので親がやってくれたのだと思います。」
たしか、そんな会話を軽くした記憶があります。それにしても、もしAさんの親が学特の申請をしていなかったら・・・。
考えればぞっとする話です。もしそうなら、Aさんは障害年金の請求ができなかったからです。
たかが学生納付特例、されど学生納付特例です。年金機構のホームページから関係箇所を貼り付けてますので、興味のある方はご覧になってください。
20代の若い方は、年金などはるか彼方遠い未来の話だと思っているでしょう。しかし、Aさんのように障害年金を請求しなければならない状況に陥る可能性もけっしてゼロではないのです。
ですので、年金を支払う余裕がない方でも、免除申請(学生納付特例)などの制度を利用し、早めに免除しておくことをお勧めいたします。
最寄りの市区町村で手続きは可能ですので、ぜひ行ってください。