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医療プレミアの記事 「がんになったら障害年金を受給しよう」を考察する

 

執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)

 

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。

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医療プレミアの記事「知らないと損をする がんになったら障害年金を受給しよう」

札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを手掛けて15年目になります。

 

さて、先日、医療プレミアの記事(配信日は2024年4月2日)「知らないと損をする がんになったら障害年金を受給しよう」という記事を拝見しました。日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科・勝俣則之教授が記載した記事です。記事を貼り付けておきますので、興味のある方はご覧になってください。

知らないと損をする がんになったら障害年金を受給しよう | がんによくある誤解と迷信 | 勝俣範之 | 毎日新聞「医療プレミア」

 

同記事からちょっと引用させていただきますが、勝俣教授は、「障害年金は現役世代でも受給できる」という見出しの元に、「そもそも年金制度とは、働いて収入を得ることが難しくなったときの所得保障です。だから高齢者だけのものではありません。がんによる機能障害や、全身の衰弱、抗がん剤の副作用などで生活や仕事が制限される場合には所得保障として年金を受給できるのです。」とがんでも障害年金を受給できると喧伝しています。

 

しかし、障害年金受給者全体における「がん」の構成比は1%程度であると憂いています。その理由として、勝俣教授は以下の様に述べています。

 

 

その理由は、障害年金に関する理解が医療者側、患者側の両者で十分でないためです。そもそも障害年金は申請しないと受給できません。さらに申請手続きも複雑です。

 

 がんと診断され、障害年金を受給しようとして、「障害年金の診断書を書いてほしい」と医師に請求しても「私には書けない」「がんでは障害年金は受給できない」などと言われるケースが多いと聞きます。NPO法人「キャンサーネットジャパン」ががん患者、家族に対して実施したアンケートで、がんで障害年金を受給できることを知っていたのは65.8%でした。その情報源は、「記事や書籍、冊子(インターネット上を含む)から」が51.4%だったのに対し、「医療従事者から」が10%以下(医師2.3%、がん相談支援センター8.6%、医療ソーシャルワーカー7.6%)でした(注8)。これは患者、家族はある程度、障害年金の知識やニーズがあるのに、情報提供を行う側の医療者側の認識が低い現状をうかがわせます。

 

勝俣教授は、がん患者の方の障害年金の受給率が低いのは、医療者側・患者側に障害年金についての理解度が低いからであると指摘しています。

 

あるアンケートによれば、対象患者(家族)のうち、「がんで障害年金を受給できる」と知っていたのは65.8%にすぎなかったと。そしてその理由として「情報提供を行うがわの医療者側の認識が低い」ことをあげています。

 

筆者が障害年金請求代理業務をてがけて約15年になります。始めた当初は障害年金という制度はまさにマイナーな存在でしたが、現在においては、隔世の感を覚えるほど認知度は上がっています。

 

しかし、こと「がんの障害年金」に関しては、いまだ知れ渡っていないということが実際のところなのでしょう。

 

まだまだ、我々の努力が足りないということかもしれませんね。

 

 

 

 

 

それでも「がんの障害年金はきびしい」理由

 

しかし、『障害年金受給者全体における「がん」の構成比は1%程度』である理由は、「障害年金に関する理解が医者側、患者側の両者で十分でないため」、また「申請手続きも複雑」だからだけなのでしょうか。

 

もちろん、上記の理由でがん患者の方の障害年金受給率が上がらないことは間違いではありません。しかし、筆者は、もっと違うところに理由があると考えます。

 

それは、がんの障害年金の症状のハードルが高すぎるのです。

 

まあ、障害認定基準に確実にあてはまるケースであれば、それほどハードルは高くはないかもしれません。

 

例えば、大18節/その他の疾患による障害の内容を一部引用します。

 

(3) 人工肛門・新膀胱
ア 人工肛門又は新膀胱を造設したもの若しくは尿路変更術を施したものは、3級と
認定する。

 

このように、がんが理由で人工肛門や新膀胱を造設されたような場合なら、障害厚生年金の対象者で納付要件さえあれば、請求すればすれば障害年金3級は受給できます。同様の理由で喉頭全摘出された場合などもそうです。

 

上記の状態で障害年金を請求するのであれば、それほど難しいことはありません。

 

問題なのは、がん治療の副作用による倦怠感・悪心・嘔・全員衰弱などの症状で請求するケースです。こういったケースはかなりハードルが高いといっていいでしょう。筆者は以前、そのテーマでコラムを投稿したことがあるので、興味のある方はご覧いただければ幸いです。

障害年金 がんで申請は可能 しかし現実はきびしい|札幌ライラック社会保険労務士事務所

 

 

 

がん治療の副作用による倦怠感・悪心・嘔・全員衰弱などの症状で障害年金を受給するハードルはとても高い!!!

 

がんでの障害年金の請求において、治療の副作用による倦怠感・悪心・嘔・全員衰弱などの症状はその対象として認められているのですが、ハードルがとても高いのです。

 

例えば、2級になる可能性はほぼゼロと考えて間違いありません。不適切な表現かもしれませんが、数週間後に亡くなるようなレベルになって、はじめて2級が認められるといった世界観です。

 

さすがに3級では、そこまでハードルは高くはありませんが、それでも相当きびしいと考えて間違いありません。

 

また、「治療の副作用による倦怠感・悪心・嘔・全員衰弱などの症状」というのは、数値にあらわしづらいものですので、捉え方は診断書の記載医によってかなり違ってくるのは事実です。

 

例えば、病気を患い正社員の立場をはく奪され、パートとして週4日ほど短時間で働くような方がいらっしゃいます。

 

例えば、週4日一日5時間働く。がんを患う者としてこれはけっしてラクなものではなく、嘔吐しながら生活のために這ってまで出かけていくようなイメージです。

 

この状態を「日常生活はおおむね自立している」と捉えることは可能ですが、「多くの困難がつきまとう」とも解釈できます。

 

このあたりの診断書書き方で、障害年金受給の当否がかわってくるのも事実です。一概には言えませんが、診断書のイメージで障害年金の結果が変わってくることもありえるのです。

 

となると、「医師の理解度」はとても必要だということですね。

 

やはり家族も含め、患者と医師の普段からのコミュニケーションが大事になってくるというのはどの傷病でも変わりありません。

 

先述した勝俣則之教授は、同記事で「社会保険労務士に相談を」とも記載しています。押し付けるわけではありませんが、障害年金請求代理業務をてがけている社会保険労務士に相談するということもひとつの選択肢です。

 

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