執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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障害年金「前1年要件」 10年間延長の見込み(福祉新聞)
社会保険労務士の中斉徳久です。札幌市厚別区で障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
さて、8月5日、「障害年金の特例さらに10年延長 厚労省 未納者を救済」なるニュース記事を見ました。ヤフーニュースで配信されています。興味のある方はぜひご覧ください。
障害年金の特例さらに10年延長 厚労省、未納者を救済(福祉新聞) – Yahoo!ニュース
障害年金の納付要件を確認する際に、我々が当たり前のように持ち出す「前1年要件」。「直近1年要件」とも言われ、実は特例措置であることが忘れがちな方も多いでしょう。
現在の特例措置では、2026年3月31日までとされていますが、厚生労働省はさらに10年延長する方針を7月30日の社会保障審議会年金部会で示したとのことです。
年金部会では「初診日要件」も論じられている
同年金部会では、「初診日要件」についての議論もされていす。
「初診日要件」とは、障害年金の請求において、初診日にどの年金制度に加入しているかということで、請求者にとって非常に重要な事項です。初診日にサラリーマンとして厚生年金に加入しているのと、無職あるいは自営業であるのは、金額的に大きく格差が出てくるからです。
例えば、30年会社に勤続したものの、体調を崩し会社を辞めたとしましょう。退職後、病院を受診し「うつ病」と診断されることなどよくあることです。この場合、障害年金を請求するとしたら障害基礎年金となります。つまり、30年間支払い続けた年金保険料は、障害年金の受給額に全く反映されないのです。
一方で、例えば1か月しか会社に在籍していないものの、その期間に病院を受診していて、それが初診日と認められれば障害厚生年金となり、障害基礎年金よりかなり大きな額が支給される。
理不尽としか言いようのない世界観です。
この理不尽な世界観を救済措置を講じることはできないかということが年金部会で論じられています。
たとえば、『厚生年金の被保険者でなくなった後も一定期間内に初診日があれば給付対象とする「延長保護」という措置』や、『厚生年金の保険料納付期間が一定以上あれば給付対象とする「長期要件」という措置』などの意見が挙げられているようですが、どうでしょう。
最近話題になっている「遺族年金改正案」などからうかえるように、そうそう請求者に有利に働くような改正はなかなか期待できないとついつい思ってしまいます。
もちろん、筆者も「延長保護」、「長期要件」には大いに賛同いたします。もうちょっとだけ早く受診していれば、障害厚生年金の対象になっていた方を何人も見てきたからです。
なかなか難しい問題ではありますが、世論が動くことでいい方向に変わっていくことはじゅうぶんありうると筆者は考えております。