執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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突発性難聴で右耳の聴力を消失 障害年金の対象になるか?
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
弊社、障害年金の請求について、無料相談を随時やっております。やはり、うつ病・双極性障害などの精神疾患の方、もしくは肢体の障害などの相談が多いのですが、まれに聴力の障害の方の相談を受けることがあります。
先日、50代の女性の方からご相談がありました。傷病名を伺うと「突発性難聴」とのこと。10年前のある日、朝目を覚ますと右耳の聴力を失っていたというのです。
仕事を休み、すぐに近場の耳鼻科に行ったところ、「突発性難聴ですね」と言われました。1~2度病院に行きましたが、けっきょく何の改善もせず、そのうち病院へも行かなくなったといいます。施しようがなかったからというのが、本人の弁です。
「いや、正直なところ、いつかは耳が元に戻ると思っていたんですよ。ところが全然よくならない。気が付けば10年経っていたんです」
最近になって障害年金の対象になるのではということで、弊社にご相談されたということでした。
右耳の難聴レベルは80㏈以上ということで、たしかに生活レベルではかなり制限をうけている状態です。
ちなみにその相談者様の初診日要件は厚生年金でしたが、初診時受診した病院に連絡したところ、記録がすでに破棄されていて、その後もずっと病院(耳鼻科)に行っていないとのことです。また、健康診断などで聴力検査も行っていなかったともおっしゃっていました。
右耳聴力消失 障害手当金の可能性はあるかもしれないが・・・
さて、この相談者様は、右耳の突発性難聴で障害年金を受給できるでしょうか。
結論から言えば、障害年金を受給するのはきびしいですね。一耳の障害だけでは、障害年金の対象にならないからです。よくて、障害手当金がいいところです。
聴覚の障害認定基準、障害手当金の例示を挙げておきます。
一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
「一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの」とは、一耳の平均純音聴力レベル値が80デシベル以上のものをいう。
年金機構のホームページより、聴覚の認定基準のページを張り付けておきますので、興味のある方はぜひご覧になられてください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/ninteikijun/20140604.files/3-1-2.pdf
そう考えると、相談者様の状態(右耳の難聴レベルは80㏈以上)は、まさに障害手当金にあてはまります。
しかし、ざっくりとした情報しかないので恐縮ですが、残念ながら、障害手当金の受給もむずかしいでしょう。
障害手当金は、初診日から5年以内に症状が固定されていなければ、支給の対象になりません。そもそも、ご相談者様の耳鼻科の初診日は10年前で、最初のころ1~2度程度しかしておらず、しかもその記録すら残っていない。また、それ以後現在まで耳鼻科の受診もないとなれば、初診日から5年以内に症状が固定したことを証明することはちょっと難しいです。
年金機構のホームページより障害手当金について記載されているページを張り付けておきます・
https://www.nenkin.go.jp/service/yougo/sagyo/shougaiteate.html
残念ながら諦めるしかないケースですね。
やはり、こまめに病院に行くというのは、大事なことかと思います。
今となっては、後悔先に立たずですが・・・