執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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Q人工膝関節置換術を受けました。障害年金の対象になりますか?
(56歳専業主婦・傷病名:変形性膝関節症)
変形性膝関節症を患う56歳の専業主婦。今年、両膝に人工関節の手術を受けました。
長期にわたる介護などで膝に無理がかかっていたようです。患部に若干の痛みがありますが、術後は順調で、普通に生活できております。
さて、入院先の病院で看護師さんから「人工関節を入れたら障害年金をもらえるのではないか」と言われたことを思い出したのですが、本当でしょうか?
ちなみに、私はずっと専業主婦で、社会保険に加入したことはありません。
A障害基礎年金は2級以上しか受けられない。膝人工関節を入れても障害年金の受給は難しい。
札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
いわゆる専業主婦の方、つまり初診日が障害基礎年金の対象の方が、膝人工関節置換術を受けた場合、障害年金を受給できるのかといった質問ですね。
よくある質問です。
結論から申し上げますが、いわゆる専業主婦の方は人工関節を入れたというだけでは障害年金を受給することはできません。
つまり、質問者様は障害年金を受給できないということになるでしょう。
障害認定基準「第7節 肢体の障害・第2 下肢の障害」には以下のような記載がございます。
ク 人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについては、次により取り扱う。
(ア) 一下肢の 3 大関節中 1 関節以上に人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものや両下肢の 3 大関節中 1 関節以上にそれぞれ人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは 3 級と認定する。
つまり、人工関節をそう入置換したものは3級ということです。
相談者様は主に専業主婦として生活し、社会保険に加入したことがないとうれば、障害基礎年金の対象になります。ご存じかと思いますが、障害基礎年金は2級以上しかありません。
しかし、同認定基準には以下のような記載もございます。
ただし、そう入置換してもなお、一下肢については「一下肢の用を全く廃したもの」程度以上に該当するとき、両下肢については「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するときは、さらに上位等級に認定する。
人工関節そう入した方でも症状によっては2級以上もありうるという認定基準の記載がありますが、相談者は患部に若干の痛みがあるものの「術後は順調で、普通に生活できております」ということ。つまり、「両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」程度以上に該当するとも思えません。
となると、現在の状態で障害年金を受給することはきびしいでしょう。