中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。札幌市厚別区厚別中央を拠点に、10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!
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初診日の資料が揃わない 第三者証明を使うという方法もある
19歳でうつ病発症 内科で精神科受診を勧められる
うつ病を患う32歳の男性から相談を受けたケースです。
この方は、うつ病が慢性化し会社を辞めて無職状態でした。仮にBさんということにします。
Bさんは、大学2年生の頃、突如体調を崩し、近所のC内科に駆け込みます。
何度かの受診を経て、C内科の医師から言われた言葉は、「身体的な症状としては問題ない。精神科の受診を勧める」でした。その病院では精神安定剤を処方されていたといいます。その時、Bさんは19歳で、20歳の誕生日の1月前でした。ちなみに、その病院では特に紹介状を書いてもらうことはありませんでした。
当時は、今より精神科を受診するのにハードルが高かった時代。Bさんは体調を崩しながらも精神科の受診をためらっているうちに20歳の誕生日を迎えてしまいます。けっきょくD病院(精神科)を受診したのは20歳を超えて数カ月過ぎたあたりだったそうです。そこから、何度か病院を変え、現在に至るまで精神科を受診しています。
32歳になったBさんは、もはや仕事ができず無職状態になり、担当員の勧めもあり障害年金の請求を試みます。
年金事務所に行ったところ、20歳から数年間年金保険料が未納状態で、D病院(精神科)を初診日とした場合、障害年金請求における納付要件がありませんでした。「納付要件がないので、障害年金の請求はできません」と年金事務所職員に言われ、打ちひしがれ幣事務所まで相談に来られたということです。
納付要件がなければ、障害年金の請求はできないのは常識的なはなしです。そういう時はあきらめるしかないのですが、Bさんの場合は何とかなりそうな気がしました。
というのも、19歳で体調を崩し近所の内科で精神安定剤をもらい、精神科の受診を勧められていたとのこと。であれば精神の障害年金において、そこが「初診日」となり、C内科に受診していたことを証明できれば、「20歳前障害」での請求が可能になると思ったからです。みなさんご存じだと思いますが、20歳前障害が認められれば、納付要件が問われません。
筆者が請求代理人になり、まずC病院に当時の記録がないか問い合わせました。10年くらい前の記録でも最近の電子カルテ化で、古い記録でもけっこう残っていることがあるからです。しかし、残念ながら記録は破棄されていました。D病院から受診状況等証明書は取得できたのですが、C病院での治療経過などは全く記載されていませんでした。
そこで、「第三者証明書」の出番となります。
第三者証明書が有効となり、障害基礎年金2級を受給!
Bさんが19歳当時に、体調を崩しC内科に受診し安定剤の処方や医師から精神科を勧められていたことを「第三者証明書」で証明できれば何とかなるのではないか。筆者はそう考えました。
当時のBさんをよく知る方2名を探したところ、当時居住していた寮の管理者の方とBさんの通う大学のクラス担任をしていた教授(当時は准教授)です。メールで依頼を申し込んだところこころよく引き受けてくれました。
両者とも、当時のことをよく覚えていて、第三者証明の書式に「19歳のころ体調を崩しC内科に通院していたこと」、「そこで精神科の受診を勧められていたこと」などを記載してもらいました。あと、その当時の日付けが入っているC内科の受診カードも添付し、障害年金の請求を行いました。
その第三者証明の存在が功を奏し、20歳前障害の請求とし、2級の障害年金が認められました。
このように、いっけん無理だと思われるものでも、第三者証明書を添付することで、障害年金が認められることがあります。
ですので、最後まであきらめず頑張ることが大事なのです。