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「悲報!全身性エリテマトーデスでの障害基礎年金の受給はやはり不可能」第1回目

執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)

 

札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。大学卒業後民間企業を経て、社会保険労務士になる。15年間障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。

障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。

 

 

 

 

障害年金 全身性エリテマトーデスで基礎年金はきびしいのか?

 

 

札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金請求代理業務を始めて16年目になります。

 

さて、今回のテーマは「悲報! 全身性エリテマトーデスでの障害基礎年金2級の受給はやはり不可能?」です。長くなってしまいそうですので、シリーズ化して複数回に分けて記載したいと思います。

 

今回は記念すべき第1回目。

 

昨年、全身性エリテマトーデスのの中でも「最重度」と思われるほど、症状が顕著な方の障害年金請求代理人を受任しました。

 

年末ぎりぎりに請求は終了し、紆余曲折あり最近通知がきたのですが、結論から申し上げて「不支給」でした。

 

筆者は、過去に同傷病で何度か障害年金を請求したことがありますが、多くは3級に着地しています。

 

しかし、昨年扱った案件は、さすがに2級以外にはありえないないだろうというものでした。

 

詳細を述べていきます。

 

請求者:40代女性(A子さん)

傷病名:全身性エリテマトーデス(NPSLE)

初診日:国民年金(10年前)

請求方法:障害認定日請求(遡及請求)

診断書:その他の障害用・精神の障害用(障害認定日各2通、請求時各2通)

 

初診日が国民年金。つまり、A子さんは障害基礎年金の対象の方で、2級以上でなければ年金が支給されません。

 

ご相談を受けた当初、受任するかそうか筆者は悩みました。同傷病で2級はきびしいという認識があったからです。

 

しかし、A子さんの症状は今までのケースとまるで違っていました。

 

A子さんは、総合病院の精神科と内科(膠原病の専門外来)に同時に通い、長年通院していました。

 

そもそも、日常生活が成り立っていませんでした。小さい子供がいるのに、子育てもままならず、近所に住む親やヘルパー頼み。体調の波が激しく、病気の特性だと思いますが調子のいい時もなくはないものの、突然崩れて寝込むこともザラにあったのです。そのため、予定が立てられない状況です。これは社会人として致命的なものであり、アルバイトもままなりません。交通機関を使っての通院などとても無理で、お金もないのにタクシーを使わざるを得ない。そんな状態が何年も続いていました。

 

また、A子さんは「NPSLE」といって、全身性エリテマトーデスに直接関係して生じる精神症状や神経症状が合併していました。全身性エリテマトーデスの患者が精神症状を訴えるケースはかなり多いということですが、実際「NPSLE」と正式に診断されるケースは少ないと聞きます。A子さんが、まさにのそケースだったのです。

 

A子さんは、日によって症状は違うものの、抑うつ状態のみならず、パニック症状、幻覚や妄想などの症状もあり、それだけでもかなり大変な状態だったのです。

 

筆者がこれまでお会いした全身性エリテマトーデス患者の中でも、かなり顕著な症状をお持ちの方だったといえるでしょう。

 

 

 

 

SLEDAIスコアが46点 なのに障害基礎年金が不支給 意味がわからない!

 

それよりなにより、「SLEDAIスコア」といって全身性エリテマトーデスの重症度を評価するためのスケールがあるのですが、参考書類として担当医に記載していただいたところ、それはとんでもなく高いスコアだったのです。

 

その「SLEDAIスコア」ですが、該当する症状(医学的に全身性エリテマトーデスによるものに限る)によって点数がきまっていて、例えば痙攣、精神症状などの症状があれば、それぞれ8点。関節炎、筋炎などの症状があれば4点。発熱、血小板減少などの症状があれば2点などと決められていて、症状の合計点から、同傷病の重症度を判断していくというものです。北大の河野通仁也先生が作ったもので、指定指定難病「医療費助成制度」の申請の際の個人評価表にも使われている信ぴょう性の高いものです。

SLEDAIスコア|全身性エリテマトーデス重症度判断 | ナース専科

https://knowledge.nurse-senka.jp/500686

 

1~5点なら「低活動性」、6~10点なら「中活動性」、11~20点なら「高活動性」、21点以上が「非常に高い活動性」という判断をするわけですが、医師が判定したところ、なんとA子さんは「46点」だったのです。

 

21点以上が「非常に高い活動性」と言われる中、46点。倍以上のスコアだということです。

 

要は、その傷病中では、最重度と考えていいでしょう。

 

しかし・・・

 

そんな方でも2障害基礎年金が不支給だったのです。

 

なぜでしょう。納得いきません。

 

長くなりましたので、第2回目に続きます。

 

ではでは!

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