事例1うつ病 (40代後半女性 初診時:専業主婦 障害基礎年金2級)
職場結婚し、2人の子供に恵まれる。しかし第二子出産後あたりから夫によるDVに悩まされ離婚。体調を崩し精神疾患を患う。長年精神科に通院し、4つの精神科を転々とするも体調は改善されなかった。初診日からかなり時間が経ってから障害年金という制度を知り、障害基礎年金の請求を試みて幣社へ相談に来られた。初診日は約20年前、A心療内科を初受診した日。A心療内科へは約7年通院した。その後Bメンタルクリニックに3年通院、Cメンタルクリニックには5年通院した。現在通うD病院へは5年通院している。幸いA心療内科にはカルテが残っていて障害認定日頃の診断書の取得が可能であった。D病院の現在の診断書と併せて2枚の診断書を揃え、障害認定日請求を試みる。あきらめていたが5年の遡及請求が認められたケース。
事例2統合失調症 (30代男性 初診時:製造業社員 障害厚生年金2級)
大学を卒業し製造業に従事。ある時期から幻聴・幻覚に悩まされるようになる。「○○を殺せ」、「○○がお前を狙っている」などの声がどこからともなく聞こえてくるようになる。上司の勧めでAメンタルクリニックを初受診。すぐに統合失調症と診断される。当初、Aメンタルクリニックへは、仕事をしながら通院を継続していた。しかし、体調は改善せずしだいに会社にも行けなくなり退社。実家にこもり、日常生活のほとんどを母に依存する日々が数年続く。ある日障害年金請求を検討し、母親同伴で弊社へ相談に来られる。現在に至るまでAメンタルクリニックにはかれこれ8年以上継続的に通院している。障害認定日頃と現在の診断書2枚取得し遡及請求を行う。障害認定日は障害厚生年金3級、請求日においては2級が認められた。
事例3ADHD・自閉症スペクトラム障害 (20代男性 初診時:サラリーマン 障害厚生年金3級)
元々人間関係をうまく築くことが苦手で、学校では常に孤独だった。大学を卒業するまでは際立ったトラブルは見られなかったものの、就職先で色々と問題を起こし人間関係をこじらせる。上司・先輩からのいじめで体調を崩し退職。その後転職を繰り返しいずれも人間関係を構築できなかった。抑うつ状態が続き精神科を受診したところ、「ADHA・自閉症スペクトラム障害」と診断される。再就職もうまくいかず、障害年金を試みる。障害認定日請求を試み3級が認められた。
事例4知的障害 (40代女性 障害基礎年金2級)
小学校は普通学級に進むも勉強が苦手でいつも下位のグループにいた。中学校も普通学級に進むも同様に授業について行けない。高校へは行けず、アルバイトを転々とするが、どこへ行っても仕事で足をひっぱり、いじめられてばかり。気が付けば40代になっていた。高齢の母親が心配し行政に相談。保健師の勧めで精神科を受診したところ知的障害であることがわかる。その流れで弊社へ相談。療育手帳を取得したタイミングで障害年金を請求し、障害基礎年金2級が認められた。このように40代・50代になっても知的障害と気づかずに生活されている方は少なくない。身寄りがない方などは相談する人がおらず、受給資格があるものの放置されているケースは意外に多いのだ。
事例5糖尿病性腎症・人工透析 (50代男性 初診時:経理担当社員 障害厚生年金2級)
糖尿病性腎症による腎不全のため人工透析治療を開始。そのタイミングで障害厚生年金の請求を検討する。糖尿病性腎症による透析のケースは、糖尿病の治療を開始した日が「初診日」となるのだが、糖尿病における初診日はなんと23年前。3年間通院していたA病院は数年前に廃院していたため、受診状況等証明書の取得は無理だった。次に受診し、2年間通院していたB病院も廃院していた。このあたりで、自分で請求することをあきらめ弊社に依頼することになる。3つ目のC病院は現在に至るまで18年間通院していたが、同病院にはB病院からの紹介状が残っていた。「平成○○年〇月から3年間、A病院で糖尿病の治療を行う・・・。」という文言が決定打となる。「受診状況等証明書が添付できない理由書」にその紹介状を添付し、事後重症請求を行い、障害厚生年金2級が認められた。なお、男性は透析を続けながら仕事は続けている。
事例6乳がん (40代女性 初診時:広告代理店営業社員 障害厚生年金3級)
40代前半で乳がんを発症。初診日当時、広告代理店の営業をやっていた。手術後、抗がん剤療法を受けながらの仕事はきつく、上司の配慮で事務職に移動させてもらう。障害認定日を待って、障害厚生年金を請求するも「不支給」となる。抗がん剤治療などの影響で仕事はきつくフル勤務は無理だったので、アルバイト扱いで時短勤務になる。その2年後、幣社に相談、依頼される。事後重症請求し、障害厚生年金3級が認められる。このように、抗がん剤治療などを受け、アルバイトをしながら障害厚生年金3級を受給されている方は少なくない。しかし、同傷病で障害年金2級をもらうのは相当ハードルが高いというのが現実である。
事例7右変形性股関節症・人工股関節 (50代女性 初診時:看護師 障害厚生年金3級)
看護学校を卒業し、30年以上看護師として従事する。50歳を過ぎてから右足に違和感を覚える。整形外科を受診したところ、右変形性股関節症と言われ、即手術。その流れで障害厚生年金を請求し3級が認められる。意外にというか相当数、仕事の激務から同傷病で悩まれている看護師さんは多い。
事例8脳梗塞・片麻痺 (50代男性 初診時:経理部門責任者 障害厚生年金3級)
50代男性。大手企業に総合職で働くも脳梗塞を発症。左片麻痺を患い退職を余儀なくされる。障害年金を請求し障害厚生年金3級が認められたケース。本人はその結果に納得せず、障害厚生年金2級を求め不服申し立てを行ったが、それはかなわなかった。片麻痺での2級は意外に難しいというのが実際のところである。
事例9脳梗塞・高次脳能障害(失語症) (50代男性 初診時:トラックドライバー 障害厚生年金2級)
家にいて突然言葉が出なくなる。家族が心配し救急車を呼び大学病院を受診。「脳梗塞」と診断される。後に高次脳機能障害・感覚失語症状・失算・失書・記憶障害なども認められた。リハビリ後社会復帰したもののドライバーから仕分けのバイトに降格、給料は5割減となる。家族が心配し障害年金の請求を検討。幣社に相談に来られる。発病から1年6カ月経過し、「高次脳機能障害」として精神の障害用の診断書を1枚、「失語症」として音声又は言語機能の障害用の診断書を1枚そろえ障害厚生年金を請求。高次脳機能障害の症状が3級相当、失語症の症状が3級相当だったが、併合で2級が認められた。
事例10うっ血性心不全 (50代男性 初診時:営業マン 障害厚生年金3級)
心臓ペースメーカー・ICD等の植え込みをしていないが、心疾患で障害厚生年金3級が認められたケース。初診日(10年以上前)以降、うっ血性心不全にて入退院を繰り返し、経皮的冠動脈形成術を何度か行っていた。当初は営業部のエースとして全国を飛び回っていたが、事務職に異動になる。しかし、ちょっと動いただけで息が切れる状態は改善せず、障害厚生年金を請求した。3級に着地する。現在は、障害年金を受給しながら、仕事を細々と続けている。
事例11繊維筋痛症 (40代男性 初診時:IT関係社員 障害厚生年金3級)
線維筋痛症で障害厚生年金3級が認められたケース。数年前から体調に違和感を覚えていた。だるさ・手足のしびれなどを感じていたが、「仕事のしすぎかな」くらいに考えていた。しかし、その症状は徐々に顕著になる。病院を受診したところ、「繊維筋痛症」との診断を受け、その後入退院を繰り返す。長年勤めていた会社は休みがちになり退職。そして、傷病手当金の支給期限が迫り、障害厚生年金の請求を検討する。最近でこそ繊維筋痛症で障害年金を請求するケースは珍しくないが、その症例はけして多いわけではなく、診断名が確定するまであらゆる経過をたどっている場合が多い。つまり初診日を確定することが難しい傷病でもある。障害年金を請求する際には、まずは病歴などの事実関係を時系列にしっかりと落とし込み、社労士などに相談することが大事である。
事例12強直性脊椎炎 (30代男性 初診時:自動車整備工 障害厚生年金2級)
5年くらい前から原因不明の腰痛に悩まされていたが、整骨院に通い何とかしのいでいた。しかし、痛みに我慢できなくなり整形外科を受診したところ、「強直性脊柱炎」と診断される。頚部・胸腰部の可動域が狭く日常生活に支障があったが、整備工の仕事は何とか続けていた。ある時期から著しく症状が悪化。歩行も困難になりに常態的に杖が必要になったことから会社は退職した。外出時は車いすを利用するようになり、障害厚生年金を請求。2級が認められた。
事例13頸椎後縦靭帯骨化症 (40代男性 初診時:建築事務所社員 障害厚生年金3級)
ある時期より右の手指に痛みやしびれを覚える。建築士として働いていたが、設計の業務の際のパソコンの作業がはかどらなくなってくる。そのうち、クビが回らなくなるなど症状が広がっていったため、整形外科を受診。検査の結果「頸椎後縦靭帯骨化症」であることがわかる。病院には継続的に通院、薬物治療を続けていたが、改善するどころか悪化傾向にあった。初診日から1年6カ月経過した頃には右手握力・頚部の可動域が著しく狭くなったため、障害厚生年金を請求。3級が認められた。
事例14喉頭がん (50代男性 初診時:建設業 障害厚生年金2級)
数年前より、喀痰増加・喘鳴悪化の症状が出ていた。耳鼻咽喉科を受診したところ、乳頭腫様の隆起があることを指摘され経過観察した後、それが喉頭がんであることがわかる。大学病院を紹介され、喉頭全摘出手術を行う。その流れで、障害厚生年金を請求。2級が認められる。初診日から1年6ケ月経過していなかったが、障害認定基準により手術日が障害認定日となるケース。
事例15アルコール性健忘症候群(アルコール依存症) (40代女性 初診時:OL 障害厚生年金2級)
大学生の頃、スナックでアルバイトを始めてから常習的にお酒を多飲するようになる。大学を卒業後、就職してからお酒を控えていたが、仕事のストレスが溜まりお酒に依存する傾向は強まる。精神科を受診し相談したところ「アルコール依存症」と診断された。会社は退職。実家に戻り、精神科に通いながら断酒を試みるもうまくいかなかった。そんな状態が20年以上続いたが、気が付けば認知機能が低下、記憶の上塗りができなくなり、「アルコール性健忘症候群」で入院生活を余儀なくされた。その流れで障害厚生年金を請求。2級が認められた。
事例16化学物質過敏症 (40代女性 初診時:事務職 障害厚生年金3級)
元々化粧品の使用などで皮膚の違和感、痛みなどを感じていた。2年ほど前から症状は顕著になり、めまい・頭痛・焦点が定まらない・思考の停止・記憶力の低下等もはげしくなる。そして仕事にも支障が出てくる。ネット等で調べたところ「化学物質過敏症」ではないかと思い、専門医のいる病院を受診。同傷病と診断を受ける。病院には定期的に通院していたが、症状は改善せず、会社を辞めてしまう。退職後、隔離された空間で生活しているうちに一時期症状が若干改善してきた(症状がでなかった)ので再就職した。しかし、それも長続きせず再び体調は悪化。またぞろ仕事を辞める羽目にあう。主治医の勧めで障害厚生年金を請求。3級が認められる。
事例17外傷性てんかん (40代男性 初診時:会社員 障害厚生年金3級)
国道沿いの歩道をジョギング中、居眠り運転したドライバーの車に轢かれ数十メートル跳ね飛ばされる。大学病院に搬送され、緊急に開頭手術を行う。幸い術後は良好。肢体にも障害はなく、リハビリを経て社会復帰した。しかし、事故から1年後に意識を失うてんかん発作が起きる。外傷性のてんかんとのことで、発作は大小問わず不定期に訪れた。仕事にも支障が出てきて、将来に不安を覚える。事故から2年後に障害厚生年金を請求し3級が認められた。
事例18脊柱管狭窄症 (40代男性 初診時:宅配便ドライバー 障害厚生年金3級)
宅配便ドライバーをやっていたが、ある時期から腰痛、両足のしびれ・脱力感などが顕著になる。当初は整骨院などに通い我慢しながら仕事を続けていたが、パフォーマンスが下がり事務職に異動させられた。整形外科を受診したところ、「脊柱管狭窄症」との診断を受ける。定期的に通院したが改善せず一度手術するも症状はあまり変わらなかった。特に胸腰部の可動域が狭く、仕事は困難を極めた。事務職の業務も辛くなり仕事を辞めたところで、医師の勧めもあり障害厚生年金を請求。3級が認められた。