執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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精神の障害年金を受給するには一人暮らしではダメか?
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
障害年金の請求について、電話・メールの「無料相談」随時受けておりますが、やはり相談の頻度が高いのは「精神の障害」におけるものです。
そして最近、「精神の障害で障害年金を請求したいが、一人暮らしをしていたら障害年金はもらえないのか?」といったご質問を多くいただきます。
たしかにネツト等では、一人暮らしをすると精神の障害年金の受給がきびしくなるなどの情報が出ていますが、果たして一人暮らしをしていたら年金は貰えないのか?
このあたりを考えていきたいと思います。
就労と一人暮らし 精神の障害年金の当否をはかる上で重要なポイントではあるが・・・
精神の障害年金の認定ほどある意味「主観」が入るものはありません。担当医師医師の主観、認定医の主観などで年金の当否・等級などが変わってくるのです。なんというか、どこか曖昧という感が否めません。もちろんこれも筆者個人の主観ではありますが・・・。
昨今かなりの方が認識されていると思いますが、精神の障害の認定において一番重視されるのは、「日常生活能力」でしょう。診断書でいえば、裏面の「日常生活の判定」、「日常生活能力の程度」あたりです。これらが全てとは言いませんが、年金の当否をきめる上で重要なポイントであることは間違いありません。
そして、日常生活能力の高低をはかる上で、最も重視されているところとして、「一人暮らし」と「就労」が挙げられるでしょう。
仕事をしているということで、あるいは一人暮らしができているということで、日常生活能力が高いというイメージを持つ認定医はかなり多いと思います。
今回は、一人暮らしをしていたら年金はもらえないのか、または2級の年金の受給は本当に無理なのかについて語ります。診断書の関係箇所でいえば、裏面の「日常生活状況」のところがそれにあたるでしょう。就労については後日言及したいと思います。
独り暮らしをしなければならない「事情」を抱えている人もいる
たしかに、一人暮らしをしているというと、日常生活において自立しているイメージが湧きますね。ご飯を自分で作り好きな時にすきなことをしている感じがしないでもありません。
しかし、そういったイメージとは裏腹に、非常にせっぽつまった事情がそこに隠れていることを忘れてはいけません。
ある程度年齢がいった方ならわかると思いますが、精神の疾患を患い配偶者から離婚されたり、面倒を見てくれていた親が他界をし、一人暮らしを余儀なくされてしまうこともあるのです。
また、若い方でも一人暮らしをせざるを得ない場合はあるでしょう。例えば同居している父親がまだ若く、DVやモラハラ行為などを行うため、かえって症状を悪化させるようなこともあるのです。こういった場合、少し離れたところに部屋を借りて物理的に一人暮らしをすることは、よくあることです。
これをもって、「日常生活能力が高い」と判断されるなど、とても納得のいくものではありません。
実際、筆者の受任したケースにおいて、一人暮らしをしていても、精神の障害で2級の年金を受給されている方は少なくありません。
当然2級を受給するような症状の方ですので、完全に単身生活を営むことはきびしいでしょう。なので、近所に食事や買い物等のお世話をしてくれている方がいたり、ヘルパーさんの利用をしていたりする。また、市が何かしらの介入をしている場合もあります。
そういったことを、診断書の「備考欄」などに記載していただき、あるいは病歴・就労状況等申立書に書いておくなどすれば、一人暮らしをしているということのみで、不支給等になることをある程度防ぐことができると思われます。
独り暮らしをしていたら、精神の障害年金は貰えないという解釈は、けっして正しいものではないはずです。