執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。大学卒業後民間企業を経て、社会保険労務士になる。15年間障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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年金事務所の「お役所文化」には理解できないこともしばしばあります・・・
札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを手掛けて15年になります。
今日のテーマは「河野太郎大臣の功績はハンコ文化をなくしたこと 障害年金請求代理人の立場から考察する」です。
河野太郎先生は、マイナ保険証導入における失態や記者会見の態度などで非常に好感度が低かったりします。そのことに関して、たしか半年くらい前、「元文春記者チャンネル」というユーチューブ番組で科学的に解析されていたので、その番組を貼り付けておきます。興味のある方はぜひご覧ください。
その前に、まずは愚痴をひとつ。後ほど、ちゃんと河野先生の話にもどりますのでまずは、筆者の愚痴にお付き合いください。
弊社、障害年金請求代理業務をはじめて概ね15年になりますが、障害年金の請求を行う上で、窓口レベルでの些細なことから社会保険審査会でのやり取りに至るまで、様々な問題にぶち当たります。
それにしても、「お役所文化」にはある程度慣れてきた感はあるものの、何でこんな指摘を受けるのか理解不能な時もあるのです。
特に窓口職員の指摘に対し、「これくらいいいでしょ!」と思わず言ってしまいそうになることはよくあります。正直、審査に何も影響のないどうでもいいような指摘をされた場合などがそうです。
先日こんなことがありました。交通事故でけがを負い救急搬送されたサラリーマン方(40代男性)の障害年金請求です。
その方は、搬送先の病院に即入院し、翌日人工股関節の手術をしました。そこで、筆者が請求代理人として障害厚生年金を請求することになったのです。
まあ、請求自体はなんてことはありません。初診日は事故日。障害認定日は事故日の翌日に人工股関節を入れた日。病院は一つしかかかっていません。代理人としては実にシンプルな案件だと思います。
書類を集めて年金事務所で請求を行いました。
そこで窓口職員にある指摘を受けるのです。
肢体の障害用の診断書には、診断書項番⑧「診断書作成医療機関における初診時所見」という欄があります。ここでは、「令和〇年〇月〇日交通事故で当院に搬送される。(中略)。翌日人工股関節置換術施行」と記載されていたことにかんしては問題ないのですが、そこに「診断書作成医療機関における初診時」にける日付が書かれていないという理由で提出書類を受け付けてもらえなかったのです。
診断書項番②「傷病の発生月日」の日付も項番③の日付も全く同じ。「令和〇年〇月〇日交通事故で当院に搬送される。」とある以上、文脈からいって「診断書作成医療機関における初診時」の日付は、交通事故にあった日。つまり、診断書項番②と③と同じ日付になるはずです。ちょっとかんがえれば誰でもわかります。
窓口職員にそう言ったところ、その上司が出てきて「必須記載項目ですから・・」、「その病院に行って日付を書いてもらってきてください」と冷たくあしらわれました。
まあ、窓口レベルの話ですので、その病院に行って追記してもらえばなんとかなるので、筆者はそれ以上何も言いませんでしたが、なんというか「お役所的」な話ではあります。
こういう「文化」には何年経っても慣れるのは難しいですね。
おっと、すいません。愚痴もこのくらいで。
河野太郎大臣の唯一の功績をたたえます!
さて、河野太郎先生の功績の話です。
令和2年11月13日、河野太郎行政改革担当大臣(当時)が、記者会見にて「民から官への行政手続きにて、認印はすべて廃止。押印の99%以上廃止を決定」と発表したのです。
この発言を機に、お役所のみならずあらゆる所で「ハンコ文化」が失足していきました。一部の100均ショップからも「ハンココーナー」がなくなり、廃業するハンコ屋も少なからず出てきたのです。
それは、年金事務所の窓口においても顕著でした。
それまでは、、例えば診断書における医師の署名の横には必ず押印を求められ、記載を誤った場合は同じハンコで訂正印を押さなければ受け付けてもらえませんでした。例えば、なんとなく誤字があり、ちょこちょこっとボールペンで消された場合でも認められなかったのです。
そなん理由で書類を差し戻されます。
訂正印を押してもらうためだけに、改めて病院に出向かわなければならなかってのです。病院の対応が遅い場合、へたをすると、数カ月請求が遅れるなんて茶飯事だったのです。
請求書、病歴・就労状況等申立書においても同じ。請求者がハンコを貸してくれる場合ならいいのですが、そうじゃない場合、例えば記載の誤りを指摘された時などは、書類を一度持ち帰り、請求者の家に行き、訂正印を押してもらうまで書類の提出を受け付けてもらえない。
そんな時代がつい最近までありました。
それが、かの河野大臣の一言で、形勢が一転したのです。
診断書の医師の印鑑も、請求書や申立書の印鑑も必要ない。記載ミスがあっても二本線で訂正をするなどで事足りるようになりました。先述した医師のボールペンでの「ちょこちょこ」にしても、何も指摘されなくなったのです。
くだらない事務工程がひとつなくなったことで、劇的に仕事が効率化されました。
マイナ保険証で大失態をおかしてしまった感のある河野先生ですが、実は悪いところばかりではない。ハンコ文化を失足した点においてはたいへん感謝しております。
さきにあげた、診断書の日付記載の問題もそんなものではないでしょうか。
まあ、わからなくもないのですが、「原則、原則」と言われましても・・・。
ハンコじゃないですが、たいして影響のないものなら認めてくれてもいいのではないかと。
おっと、けっきょく愚痴ばかりになってしまいましたね。
すいません。