執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。大学卒業後民間企業を経て、社会保険労務士になる。15年間障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10ー102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。
益田先生「境界性パーソナリティー症で障害年金を取れる!」
札幌市厚別区で社会保険労務士を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを手掛けて15年になります。
さて、当コラムで再三紹介している、早稲田メンタルクリニック・益田医師のユーチューブチャンネル「こころの病気を解説するch」。今回も紹介したい回がございます。当チャンネルを紹介したアーカイブを貼り付けておきますので、興味のある方はご覧になってください。
精神科医・益田裕介先生がYouTubeで障害年金を解説しました|札幌ライラック社会保険労務士事務所
精神科医・益田裕介先生がまたまたYouTubeで障害年金を解説していた|札幌ライラック社会保険労務士事務所
益田先生はどちらかと言うと障害年金について肯定的で、「医師と患者で作り上げていくもの」というスタンスを取っています。
今回紹介する動画のタイトルは「境界性パーソナリティ症で障害年金を取ることができますか?」。配信は2024年11月のものです。
益田先生は、「境界性パーソナリティー症障害年金が取れるのか」という疑問に歯切れのよい回答をしています。そう、神経症圏の傷病で「障害年金は取れる!」と明言しているのです。当動画を貼り付けておきますので、興味のある方はご覧になってください。
質問者
「ドクタードクター、境界性パーソナリティー症は、なぜ障害年金がでないんでしょうか?」
益田先生
「いや取れるよそもそも。境界性パーソナリティー症プラス空虚感がひどくてうつになっている時、うつ病で取るとか」
「それが酷くて衝動性が抑えられなくて、多動とかの感じでADHDで取るとか。境界性パーソナリティー症単独じゃなくて他の病気も合併していることも多いから境界性パーソナリティー症っぽさが全面出てるんだけど、やっぱりこの背景にあるうつ病の困難さで苦しんでるわけじゃない?」
「だからそういう意味で取れるんだけどね。ちょっとわかりづらいと思うけれど。」
勝手に動画内のやり取りを文字起こししてみましたが、益田先生は、障害年金を「境界性パーソナリティー症プラス空虚感がひどくてうつになっている時、うつ病で(障害年金を)取る」、または「衝動性が抑えられなくて、多動とかの感じでADHDで(障害年金を)取る」などの請求方法があることを提示してくれています。
「境界性パーソナリティー症っぽさが全面に出ているものの背景にあるうつ病の困難さで苦しんでる」
とてもわかりやすい解説です。
色々話してきましたが、つまりは、神経症圏の病気でも障害年金の受給は可能であるということです。
障害年金請求の現場にいるものとしては、それは教科書的な話なのですが、精神科の医師でここまで明確に説明できる方はあまりいないと思います。
認定基準「神経症にあっては、原則として、認定の対象とならない」 しかし・・・
障害認定基準「第8節/精神の障害」には以下の記載があります。
神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、原則
として、認定の対象とならない。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態
を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う。
なお、認定に当たっては、精神病の病態がICD-10による病態区分のどの区分
に属す病態であるかを考慮し判断すること。
そう、認定基準には「精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又は気分(感情)障害に準じて取り扱う」とはっきり記載されているのですが、この解釈の範囲はけっこう広くて、医師によって様々な見解があるので、要注意です。
益田先生のように、「境界性パーソナリティー症っぽさが全面に出ているものの背景にあるうつ病の困難さで苦しんでる」という解釈をする方もいる一方、精神病の病態がを示しているかもしれないが、あくまで傷病名は「神経症」なのだから障害年金の対象にならないと言う医師も少なからずいるのです。
主治医が「診断書」を書かないと言うのなら、これはどうしようもありません。もちろん「神経症であるものの精神病の病態を示しているのなら診断書の記載をお願いできませんか」と依頼はしますが、それで「わかりました」ともなり難いのが実際のところです。
しかし、あくまで皮膚感覚ですが、この益田先生のように解釈してくれる先生は案外多くなっているような気がします。
そう、障害年金請求に肯定的な先生は昔に比べて増えているのです。
筆者もあらゆる方面で障害年金の理解度が上がるよう、様々な手段でで訴えていきたいと考えております。