執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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うつ病の障害年金 全被保険者期間未納状態の40代男性
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
意図せず若いころ精神疾患を患い、仕事ができないため厚生年金の被保険者の経歴がないことはおろか、国民年金保険料を支払うことなく年齢を重ねてしまう方も一部いらっしゃいます。
弊社の依頼者で、40歳になるまで一度も年金保険料を支払ったことのないという男性がいました。
関係ない話ですが、今から20年くらい前、一部の政治家が実は年金保険料を支払っていなかったことがばれてニュースになりました。後に総理大臣になる菅直人氏などもその一人で、反省と称して坊主になり四国にお遍路の旅にでかけたことが話題になりましたが、あれはちょっと笑えましたね。
この「事件」以来、年金保険料を支払わないということが若者を中心としトレンド化していきます。「政治家が払わないなら俺たちもはらまねーよ。どーせ俺たちもらえねーし」といった空気が流れていたことをよく覚えています。
はずかしい話ですが、実は当時の私は会社を辞めて無職状態。その空気にのっかる形で年金を支払っていなかったのです。まさに若気の至りです。「どーせ俺たちもらえねーし」と言ってたのは実は筆者だったのです。
さて話はもどります。人生で一度も年金保険料を支払ったことのない40歳の男性の話。この方は、詳しい事情はわかりませんが若くしてうつ病を患います。通院しながらバイトを転々としていました。しかし安定した職につけないまま40歳になったということです。それでも免除申請などをしていればよかったのですが、それもしていなかったのです。
つまり、人生全被保険者期間「未納状態」。
うつ病で障害年金を請求したいができるのか?
相談内容としてはいたってシンプルでした。
結論としては「無理です」としか言いようがなかったのですが、実はその方は現在障害年金2級を受給しているのです。
初診日は20歳の誕生日の翌月 20前障害の扱いで障害年金は請求できる
その40歳の男性の初診日は20歳を超えていたとのことですが、よくよく調べてみると20歳の誕生日の属する月の翌月だったのです。
障害年金は、初診日の前日において、①初診日の前々月までに被保険者期間があり、かつ、②初診日の前々月までの被保険者期間の全月数のうち3分の2以上の月が未納期間である場合、または、③初診日の前々月までの直近1年間に未納期間がある場合「納付要件」はみたさないことになっています。
その40歳の相談者はの初診日は20歳の誕生日の属する月の翌月。つまり、その前々月はまだ20歳前であり、被保険者期間ではないため「納付要件」は問われず、「20歳前障害」として請求することができたのです。
問題は、その20歳の頃の初診日を証明できるかということでしたが、幸いなことに記録が残っていて受診状況等証明書を取得することができたのです。
そして無事、障害基礎年金2級を受給することができたということです。