執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。
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Q10年前に1~2度しか受診してない病院が初診日? 納得できない!
うつ病を患い、ここ数年精神科に通院する38歳男性です。一度も会社員として働いたことがなく、親の商売を手伝ったり、短期アルバイトでしのいでいるうちにこの歳になってしまいました。
さて、現在あまりにも体調が悪くしばらくバイトもできない状態です。
障害年金の請求を試みたのですが、請求時年金事務所で「初診日の納付要件がない」と言われ請求できませんでした。自分で考えていた精神科の初診日は5年ほど前、33歳の頃です。当時は何年か前から年金保険料を全額免除していたので納付要件はじゅうぶんありました。
しかし、できあがった診断書に「10年ほど前に精神科に通院、薬物治療をしていたという」という記載がありました。それで年金事務所から「10年ほど前に通院していたという精神科から受信状況等証明書を取得してください」と指示されてしまったのです。
10年ほど前に精神科にかかった記憶はおぼろげながらあるのですが、それも1度か2度の話で、どこの病院かも覚えていないくらいです。それでもそこが初診日になってしまうのでしょうか。というのも、20歳から30歳になる前までは、私は全く年金保険料を払うこともなく過ごしており、10年前に精神科にかかった日が「初診日」なら、たしかに「納付要件」はありません。
1度か2度しか通院していないのに、そこを初診日と見なすなど納得できません。何かいい方法はないでしょうか。
A障害年金における初診日は自分でコントロールできるものではない
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。障害年金の請求代理業務・(再)審査請求などを主に行っております。
これは「初診日」の問題ですね。こういったご相談をよくいただきます。
ご自身では5年前から通院している現在の病院の初受診日が障害年金における「初診日」だと認識していたものの、実は10年前に別の精神科を受診していたことが診断書の文言にあり、年金事務所では「そこが初診日にあたるかもしれないから受診状況等証明書を発行せよ」ということなのですね。
10年前頃はそれ以前長い期間年金を納めておらずいわゆる「未納状態」で納付要件がないと。それなら障害年金の請求じたいままならないと。
10年前に1度か2度しか行っておらず、たいして記憶にもなく、どこの病院かもわからないレベルの関わりなら、それは「初診日」から除外されてもいいのではないかと思われているのだと思いますが、残念ながらそうもいかないというのが現実的なところです。
現在の病院の先生が記載した診断書の文言は相当信憑性があるもので、年金機構側としては、そこにある情報を無視するわけにはいきません。仮に「初診日は5年前である。10年前のことは記憶にないことだ」と言って請求したとしても、「初診日が確認できない」として却下されることが目に見えています。
「社会的治癒」を申し立てるといった方法も考えられなくはないのですが、これはある程度の期間厚生年金に加入してなければならず、相談者様はご実家のお手伝いや短期のアルバイトを繰り返していたということなので、それも厳しいでしょう。今更ですが、やはり年金をきちんと支払っておけばよかったということになります。
後悔先に立たずといったところですが・・・。