執筆者:中斉徳久(社会保険労務士)
札幌ライラック社会保険労務士事務所所長。10年以上障害年金の相談・請求代理業務・不服申し立てなどを専門に活動。過去の障害年金業務サポート数は1000件を超える。事務所所在地:札幌市厚別区厚別中央3条2丁目10-10-102。地下鉄東西線「ひばりが丘駅」から徒歩9分。障害年金の無料相談、随時受け付けております。まずはお電話を!(011)893-8395までお待ちしております。メールでもOKです。
Q うつ病を患い30年 かかった病院は7つ以上 初診日を証明できない
(相談者:59歳女性 専業主婦)
うつ病を患う59歳の専業主婦です。
35年前に結婚してから、ずっと専業主婦です。
結婚5年目にして、うつ病を患い今に至ります。
最近、主治医より障害年金の請求を勧められたのですが、何をどうしていいかわかりません。
というのも、病歴は30年以上になりますし、夫の転勤が多くその都度転院し、現在通う病院を含め7つの精神科にかかっています。どこの病院へ通っていたかは、何となく覚えているのですが、詳しくは覚えておりません。
年金事務所に相談に行ったところ、初診日を確定するよう指示されました。言っている意味はわかるのですが、そんな昔のことをどうやって調べればいいのでしょうか。
今通っている病院のカルテには、12年前にE病院を初受診したというところまでわかっているのですが、それ以前はわかりません。
こういった場合はどのように進めたらいいのでしょうか。
私は、障害年金を請求できるのでしょうか。
夫は今年で、定年退職。金銭的にきつくなり、不安でいっぱいです。
A 過去30年7つの病院に一つ一つ当たっていくしかない。
札幌市厚別区で社会保険労務士事務所を運営している中斉と申します。
うつ病の病歴が30年、かかった病院は7つということですね。
こういった長期にわたる病歴、また、多くの病院にかかっているようなケースはひとつひとつ辛抱強く当たっていくしかありません。
記憶の範囲でいいので、古い順から病院に辛抱強く電話していくのです。いきなり何を言っていいかわからなくなることもあるので、事前に「こういった理由で、受診記録を調べています。後日お電話いたします」などと手紙に書いて出しておくという方法もあります。
カルテの保管期限は5年と法律で決められていますが、現在はかなりの医療機関は電子カルテ化しているので、20年くらい前の記録でも残っていたりします。
とりあえずやってみることです。
順繰り、古い順から病院にあたっていくことで光が見えてくることもあるのです。
もしかしたら初診の頃の記録が残っているかもしれない。仮に初診日の書類を取れなかったとして、2番目以降にかかった病院に、おおざっぱなものでもいいので、「〇歳の頃、うつ病を発症し心療内科にかかっていた」、「結婚し、姑との人間関係で体調を崩し、うつ病を患う」などの文言があれば、第三号期間内にうつ病を発症し、医療機関を受診したことを証明できると思います。請求以前5年以上前の記録は、特に信ぴょう性があると評価されます。そうなれば、第三号期間内に初診日があるということで事後重症請求は認められる可能性がでてきます。
ただ、最近の傾向として、いくら3号期間内に医療機関を受診したことを証明できたとしても、「初診日が確定していない」という理由で「却下」となる可能性もあります。できることなら、初診日における「第三者証明書」を、相談者様の当時を複数のお仲間に記載していただくことを勧めいたします。
とはいうものの、体調の悪い中このような作業をつづけるのは、けっして得策ではありません。かえって体調が悪化することもありますので、家族のだれかに代わってやっていただくことをお勧めいたします。
もしそういう方がいなければ、近場の社会保険労務士などに相談してみましょう。
インターネットで検索してみれば、あまたの社労士事務所に当たるはずです。その中からご自分にあった社労士に巡り合えるかもしれません。